第一話 箱庭召喚!
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んなさい。気合と根性では、どうにもなりませんでした、御爺様」
流石にこれ以上は打つ手がないのか、勝は死を覚悟しながらも、最後の悪あがきに足から着水しようと直立姿勢になるタイミングを見計らう。
「――・・・・・・今だ!」
湖までまだ300mあるが、この際には余裕を少しでも持っていた方が良いと判断して、すぐに直立姿勢になる。そして着水すると同時に足に思いっきり力を入れるのだが――落下地点に用意してあった緩衝材のようなものに勢いを弱められ、水膜を幾重も通った後に湖へと投げ出された。
「・・・・・・ねぇ、僕の努力って、一体何だったの?」
水面に背を向けて浮かびながら、乾いた笑い声を上げる勝。気合と根性で頑張った結果は、服を一枚失うというだけの空しい結果に終わってしまっては、このようになるのも無理はなかった。
最後に溜息を吐くと、仕方がないと同時に無傷なだけ儲けものとポジティブに考え、陸地に上がると、そこには三人の先客が居た。
「し、信じられないわ! まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」
最初に言葉を発したのは、黒髪パッツン長髪をした自分より少し年上の少女。
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
次に言葉を発したのは、ツンツンした金髪のヘッドホンを掛けた自分よりもそこそこ年上の男。
「・・・・・・。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」
「俺は問題ない」
「そう。身勝手ね」
最後に一言も喋ってはいないのだが、茶色い髪をしたショートヘアーの少女が居た。この少女も、自分と歳は一番近くはあるが年上だろうと、勝は思った。
完全に置いてけぼりを食らい、途方に暮れる彼だが、とりあえず自分も他の三人同様、服が吸収した水を絞る事にする。一度脱いでから絞りたい気分ではあるのだが、生憎ここには女性が居る為、それをすることは出来なかった。
絞り終わった後は、すぐに湖の水を掬って臭いを確認、同時に水質を目で確認して口に含む。
「・・・・・・多分、飲める水だよね?」
水質調査や腹を下す水を飲んだ経験は乏しい為なんともいえないが、サバイバル初日から水源を確保できたのはラッキーだったといえる。
「で、そこで水を飲んでいる貴方は?」
そんなことを考えていると、先ほどのパッツンの少女が話し掛けてきていた。恐らくこの問いかけは、自分の名前を聞いているものだと判断し、少しだけ考える様に間を開けて、口を開く。
「・・・・・・僕は古東勝っていいます。以後、お見知りおきを」
何を考えていたかといえば、初対面の年上の相手に敬語を使うかどうかだ。相手はタメ語なの
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