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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-12教わる、教える
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い?いたくない?」
パトリシアは返事をするように、鼻を鳴らす。
「本当に喜んでますね!よかったな、パトリシア!」
また、鼻を鳴らすパトリシア。
「パトリシアは、ほんとにかしこいのね」
「そうなんですよ!自慢の馬なんです!ぼくの命の
恩人
(
おんじん
)
……
恩馬
(
おんば
)
?ですから!」
「
洞窟
(
どうくつ
)
のとき、ね。……あの。おともだちは、どう、なったの?」
「……生きて、戻ったとは、聞いてません」
「……」
「死んだ、とも。それを確認できたとも、聞いてはいませんけど。みなさんのお話と、ぼくの状況を考えれば、……そういうこと、でしょうね」
「……」
「……ぼくは、ずっと。あいつらが、ぼくを裏切って。ふたりで宝を自分たちだけのものにして、逃げたんだと思ってた。あのとき、あいつらを、信じられなかっただけでなく。ずっと、疑い続けて、生きていくところだった。いや、あんな状態で、生きてるとも言えなかった。皆さんには、本当に感謝してます」
「……でも。わたしたちは、助けられたわけじゃ、ない」
「それは、ぼくたちの問題です。あのとき、洞窟に行こうと言い出したあいつ、それに乗ったぼくらの。それは、ぼくが
背
(
せ
)
負
(
お
)
って、生きていくべきことです。ユウさんが、悩む必要はありません。」
「……悲しく、ない?」
「……悲しい、ですね。」
「……自分のせいだって、思う?」
「……ぼくが、
止
(
と
)
めてたら。もし、そうしてたら、と。思うことは、あります」
「……もし。そう、してたら。」
「だけど、そうしてたとしても。ぼくが
臆病者
(
おくびょうもの
)
と言われて、終わったかもしれない。そうすれば、結局は、ぼくも行ったでしょう。それにぼくは、そうはしなかった。しなかったことを、いくら考えても。もう、どうしようもないんです。もう、してしまったこと、起きてしまったこと、ですから」
「……もう……」
「ぼくが悩めば、
嘆
(
なげ
)
いていれば、あいつらが帰ってくるなら。いくらでも、そうしますけど。でも、そうではないですから。ユウさんがあの宝石を見せてくれたときに、ぼくは決めたんです。まっすぐ、前を向いて、生きていこうって。」
「……そう。……ホフマンさんは、すごいのね」
「そんなことは、ないですよ。自分の手に負えないことに手を出して、痛い目を見た。それだけの、話ですから」
「……」
「ユウさんは、まだ、世界を見始めたばかりですから。マーニャさんもミネアさんも、それに今はぼくもいます。聞けることは聞いて、ゆっくり、考えればいいと思います」
「……うん。ありがとう」
「いいえ。ぼくがしてもらったことを考えれば、これくらい。なんでもありません!」
「それでも。ありがとう」
「はい!」
パトリシアの手入れを終え、宿の部屋に戻る。
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