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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-09裏切りと憎しみと
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、ユウと合流しないと」
「だな。こんな面倒くせえ洞窟に、ひとりで放っとくわけにゃ、いかねえ」

 兄弟も少女を探し、歩き出す。


 ほどなく、走ってこちらに向かってくる少女の姿を見つける。

「……ずいぶん、早えな」
「……そうだね」

 少女が兄弟に気付き、叫ぶ。

「おにいちゃんっ!!」
「……はあっ!?」

 思わず声を上げ、呆気(あっけ)に取られるマーニャ。
 少女が勢い込んで、続ける。

「心配したんだよっ!?わたしひとり、おいていっちゃうなんて、ひどいよっ!」
「……」

 少女は涙ぐむ。
 マーニャは無言(むごん)で、眉をひくつかせる。
 ミネアは(ひそ)かに、ふたりから距離を取る。

「おにいちゃんに、なにか、あったら!わたし、どうしようかって!すごく、ふあ」
「メラミ。」

 マーニャが渋い顔で()()動作(どうさ)なく火球(かきゅう)を放ち、()()()かれた少女は、()()も取れずに吹っ飛ぶ。

「……容赦(ようしゃ)ないね、兄さん」
「容赦する必要がどこにあんだよ」
(かり)にも、ユウの姿なのに」
「仮にもほどがあんだろ。あれのどこが、嬢ちゃんだ。(だま)す気も感じねえ」
「確かに」
「ったく、傷を(えぐ)るような()()しやがって。ほんと、()()の悪い洞窟だぜ」

 吹っ飛んだ少女は元の魔物の姿を現し、絶命していた。

「さっさと、嬢ちゃんを探そうぜ。この分だと、あっちも同じだろ」
「そうだね。僕らはいいとして、彼女のことは心配だ」



 歩き出した少女は、落とし穴に落ちた先で、再び兄弟の姿を取る魔物に()い、表情を変えず、話も聞かずに斬りかかる。

「……めざわり。消えて。」

 姿を変える二体の魔物を、演出として追いかけていたものを合わせ、四体の魔物を相手取る。

(あいつら。早く、殺したいけど。あっちのほうが、弱い。)

 効率良く数を減らすには、弱いほうから倒さねばならない。
 冷静に、冷酷(れいこく)に、斬る。

 反撃を受け、さらに身体の傷が増えるが、まだ、死なない。

 まだ、大丈夫。
 まだ、やれる。斬れる。


 死ぬか死なないか、それだけを基準に、(はた)から見れば(つな)(わた)りのような、少女からすれば生き残るための合理的(ごうりてき)な戦いを進め、()()
 少なくとも少女の基準からすれば無事に、魔物たちを殲滅(せんめつ)する。

 身体は、傷がない場所を探すほうが難しいほど、傷ついている。
 ホイミは、あと一回しか使えない。
 どうせ全快(ぜんかい)はしない、()()しみする意味は
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