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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-08広がる世界
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せながら、目に焼きつくような印象を残す。
どの瞬間を切り取っても、完成された
絵画
(
かいが
)
のように美しく、それでいて絵画では決して
表
(
あらわ
)
せない、
躍動
(
やくどう
)
。
人々は、少女も、全ての瞬間を見逃すまいとするように、
瞬
(
まばた
)
きを忘れ、
見入
(
みい
)
る。
永遠
(
えいえん
)
のような、
一瞬
(
いっしゅん
)
のような時間が過ぎ、笛の
音
(
ね
)
が、
舞
(
まい
)
が静かになり、やがて、終わる。
マーニャが動きを
止
(
と
)
め、剣を下ろし、
優雅
(
ゆうが
)
に
一礼
(
いちれい
)
する。
顔を上げ、観客を見回し、
微笑
(
ほほえ
)
む。
歓声が、
沸
(
わ
)
き
起
(
お
)
こる。
少女は言葉も無く、立ち尽くす。
(……これが。本物の、踊り手の、踊り。……すごい。)
以前にここで、女性たちが踊るのを見たときは、楽しそうとは思ったが、それ以上に心を動かされるものでは無かった。
そのときとは全く違う、今のこの感覚。
ただ美しいと思うだけではない、感情を強く
揺
(
ゆ
)
り動かされる、なにか。
知っていれば、感動という言葉で表現したであろうもの。
ひたむきに、ひたすらに、修業の日々を送ってきた少女が、初めて味わうものだった。
マーニャが
愛想
(
あいそう
)
を振りまき、投げ込まれるおひねりを拾う。
「おう、嬢ちゃんも拾ってくれ」
「……」
「おい、嬢ちゃん?」
「……」
返事をしない少女に
怪訝
(
けげん
)
な顔をしつつ、肩を
掴
(
つか
)
み
揺
(
ゆ
)
する。
「おい。どうした」
「……マーニャ。」
「どうした?嬢ちゃん」
「……すごかった。」
「おう。ありがとよ」
「本当に、すごかった。」
「一応、これでメシ食ってるからな」
「本当に、本当に。すごかったの。」
想いを
表
(
あらわ
)
す言葉を、うまく見つけられない。
もどかしそうに、必死に訴える少女の頭を、マーニャが
撫
(
な
)
でる。
「もっと早く、見せてやりゃ良かったな」
「また、見たい。」
「おう。近いうちな」
「うん」
「とりあえず、一緒に拾ってくれや」
「うん。わかった」
無意識に、道具袋の紐を強く握りしめていた手が、固まっている。
なんとか指をほどき、握ったり開いたりを
繰
(
く
)
り返して、感覚を取り戻す。
マーニャが再び愛想を振りまき、三人でおひねりを集める。
アンコールを求める観客を、笑顔でやりすごす。
アンコールは無いと
悟
(
さと
)
った客は、徐々に散って行く。
踊りを求めてきた女性は、感激のあまり座り込んで涙ぐみ、動けずにいる。
少女は集めたおひねりをマーニャに差し出し、押し返される。
「これは、とっとけ。
小
(
こ
)
遣
(
づか
)
いだ」
「いいの?」
「おう
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