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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-07心機一転
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まさか返せとは言わねえだろ」
「でも、わたしのこと、嫌いって言ってたから」
「はあ?心配して物くれたおっさんが?嬢ちゃんをか?」
「うん。
陰気
(
いんき
)
くさい子供は、大嫌いって。さっさと、山を下りて、南の城に行けって」
「ずいぶんとまた、ひねくれたおっさんだな」
「よく、わからない」
「ま、気にすんな。返そうとしても、怒られるだけだからよ」
「……わかった」
(嫌いって、言ってたから。やっぱり、会いに行かないほうが、いいかな)
話がまとまり、三人はそれぞれに行動を開始する。
「ミネア。ちっと、北の森に行ってくっから。町の情報のほうは、頼むわ」
「いいけど。ひとりで、大丈夫?」
「いざってこともねえだろうし。ルーラがありゃ、いつでも逃げ帰ってこれっからな」
「わかった。一応、気を付けて」
「おう」
少女は読書ができる場所を探して歩き、開放されている城の庭園の、芝生に腰を下ろす。
しばらく読書に
耽
(
ふけ
)
っていると、
不
(
ふ
)
意
(
い
)
に影が差した。
見上げると、老人が立っている。
「読書かの。感心じゃの。」
(この人は、おじいさん。どう見ても、おじいさん。)
「こんにちは、おじいさん」
「うむ。こんにちは、お嬢ちゃん。」
「なにか、用、ですか?」
「ふむ。なに。お嬢ちゃんを見ておったら、なにやら昔を思い出しての。昔話は、お好きかの?」
「お話、してくれるの?」
「うむ。その昔、北の森の中に、木こりの親子が住んでおった。」
「木こりの。親子?」
「うむ。木こりの息子は、森の中で美しい娘と出会って、結婚までしたのじゃが……。木こりの息子は、ある日、雷に
撃
(
う
)
たれて死んでしまったのじゃ。」
「死んじゃった、の」
「うむ。息子は死んだが、
親父
(
おやじ
)
のほうは、今もひとりで木こりをしておるそうじゃ。」
「今は、ひとり、で。……それは、おとぎ話?」
「いいや。本当にあった話じゃよ。」
「そう。どうして、わたしに?」
「なぜじゃろうの。なぜか、思い出したんじゃ。」
「そう。お話ししてくれて、ありがとう」
「なんの。聞いてくれて、ありがとうの。」
老人は、ゆっくりと歩き去った。
(木こりと
天女
(
てんにょ
)
のお話に、似てる。
でも、あれは、おとぎ話。
これは、本当のお話。
木こりのおじさんの、むすこ?子供?は、死んじゃった?
結婚してからだから、大人になってから、死んじゃった?
結婚して、子供は、生まれたのかな?
おじさんは、ひとりだったから。いない、かな。
おじさんは、ひとり。
わたしも、ひとり、だった。
ひとりは、
寂
(
さび
)
しい。
おじさんは、寂しくないの、かな)
少女はしばし考え込み、そして読書
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