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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-05学ぶ少女
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りお金ないし。無駄遣いは、だめだから。」
「無駄ってこたねえだろ。使うもんなんだからよ」
「そうですよ。お金なら私に少し余裕がありますし、持っていないのなら買っておきましょう」

 言いながら、櫛をカウンターに置く。

「ネネさん、これを。彼女の名前で、買えますか」
「はい。会員証の発行ですね。」
「お願いします」
「かしこまりました。ではこちらに、ユウさんのご署名を。」

 店主が、紙とペンを差し出してくる。

「ごしょめい?しょめい?」
「署名です。自分で、自分の名前を書くことですよ」
「姓があれば、それも。無ければただ、ユウ、と書いてください。」
「せい?」
「自分自身の名前のほかに、家族や一族の名前を持っている人たちがいるんですよ。無ければ、いいんです」
「うん、ない」

 少女は署名し、その間に店主が櫛を(つつ)み、ミネアが代金を払う。

「書いた」
「ありがとうございます。ではこちらを。」

 店主が紙を受け取り、包みを少女に渡す。

「ありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございました。会員証を発行しますので、少々お待ちくださいね。」
「うん」

 店主が、手元で作業を始める。

「ミネア、ありがとう。大事に使うね」
「どういたしまして。他にも必要なものがあったら、遠慮せずに言ってくださいね」
「うん。大丈夫」
「お待たせしました。」

 店主が少女に、カードとペンを差し出してくる。

「こちらが、当店の会員証です。こちらにも、ご署名をお願いします。」
「うん」
「ありがとうございます。道具やお金をお預けになったり、お引き取りになるときは、これを見せてくださいね。」
「うん、わかった」

 店主がミネアに言う。

「代理のお引き出しについても、ご説明したほうが良いですか?」
「いえ。必要があれば、こちらでしますから」
「わかりました。」

 店主が少女に向き直る。

「では、早速(さっそく)お預けになりますか?」
「うん」

 手元の道具袋とは別の、移動中は必要のない着替えなどが入った袋を差し出す。

「お願いします」
「はい、確かに。お預かりします。」

 不意に、カウンター奥の扉が開く。

「パパ!倉庫のおそうじ、おわったよ!」
「ああ、ありがとう。」
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