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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-05学ぶ少女
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体を()き、()()の手入れをして、休む準備に入る。

 兄弟の部屋では、マーニャがミネアに問いかける。

「大体、想像はつくが。嬢ちゃんの村は、どうなったんだ」
「ユウを狙った魔物たちに襲われて、全滅。村の人、シンシアさんていう人が、多分モシャスを使ったのかな。彼女の身代わりになって、殺されたそうだ」
「そうか。……親父の(かたき)、どころの話じゃねえな。あんな、ちっこいのによ」
「魔物たちを(ひき)いていた者が、デスピサロというそうだ」
「また、デスピサロか。キングレオでも、奴らが言ってやがったな。化け物どもの、親玉ってとこか」
「村の人たちは、もっと彼女を育ててから、旅立たせるつもりだったらしい」
「だろうな。いくらなんでも、無理があんだろ」
「自分を守って村人たちが殺されたことで、彼女は自分を責めてる。最初は、僕たちの同行(どうこう)も断られた」
「そうか」
「まだ力が足りないというだけでなく、その運命(うんめい)のせいで村人が死んだこともあって、勇者の運命を、()()れられていない」
「わかった。勇者の話は、ひとまず置いとこう。嬢ちゃんを守って、育ててやるか。」
「ああ。そうだね。」
「しかし、まさか(かたき)()ちの旅が、子育ての旅になるとはなあ。先が思いやられるぜ」
「それは、こっちの台詞(セリフ)だよ。妙なこと教えないでくれよ」


 少女は、武具の手入れを終え、荷物をまとめ直す。

 大事にしまっておいた、羽根飾りを手に取る。

(シンシアは、もう、いない。ミネアは似てるけど、代わりじゃない。でも、一緒にいてくれる。マーニャも、いてくれる。)

 羽根飾りを、両手で包みこむ。

(シンシアは、もう、いない。でも、確かに、いた。みんなも、いた。それは誰にも、あのひとにも、奪えない。わたしは、忘れない。)

 羽根飾りを、抱きしめる。

(シンシア。みんな。立派な勇者なんて、なれるかわからないけど。でもきっと、仇を討つから。みんなはもう、いないけど。もう、ひとりじゃないから。きっと、頑張れるから。)

 羽根飾りをまた大事にしまい込み、ベッドに入る。

 ひとりで、()()めた時間を過ごしてきた少女に、(やす)らかな眠りが訪れる。



 翌朝、少女の部屋の扉が叩かれる。

「ユウ。起きてますか」

 少女が飛び起きる。

「……ごめんなさい!寝てた!」

 扉の向こうから、返事がある。

「いいんですよ。兄さんもさっき、起きたところですから。先に食堂に()りてますから、準備ができたら、ユウも来てください」
「はい!」
「ゆっくりで、いいですからね」

 足音が遠ざかる。

(寝坊(ねぼ
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