暁 〜小説投稿サイト〜
DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-04エンドールの兄弟
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 シンシアに似た、優しい青年。

 代わりには、ならないと言った。
 ()()()いも、しないと言った。
 好意で言ってくれているようなのを、()()にできるほど、少女の元々の性質は、頑なでは無かった。

 それに、心の底では、誰かに(すが)りたかった。

「……話すだけ、なら」
「では、少し場所を変えましょうか。」

 唇を引き結び、(うつむ)く少女を、青年が近くの教会に誘導する。


 青年が神父に声をかけ、教会の一角(いっかく)を借りて、少女と並んで腰かける。
 黙りこむ少女に対し、青年が口火(くちび)を切る。

「なにが、あったのですか」
「……村の、みんなが。魔物たちに、殺された。」
「それは、(つら)かったですね」
「おとうさんも、おかあさんも。師匠(ししょう)も、老師(ろうし)も。宿屋さんも、(かり)(うど)さんも。見張り番さんも、倉庫番さんも。……シンシアも。」

 青年は黙って、少女を見つめる。

「デスピサロってひとが、わたしを見つけて。魔物たちは、わたしを、殺しに来た。みんなは、わたしを隠して。わたしを守って、殺された。シンシアは、わたしの、代わりになって。殺された。」

 少女の目に、涙が(あふ)れる。
 青年は、黙って待つ。

「わたしが、勇者だから。わたしがいつか、地獄の帝王を、倒すから。倒さないと、世界が、救われないから。みんな、わたしだけ、守ったの。わたしは、強く、なれるはずなのに。まだ、弱いから。みんなは、わたしを、守って。わたしのせいで。みんな、いなくなっちゃった。」

 少女の(のど)から、嗚咽(おえつ)()れる。

「あなたのせいでは、ありません」

 少女は、首を振る。

「みんな、わたしが強くなるの、待ってた。強くなったら、喜んでくれた。嬉しくて、もっと。強くなろうと、思った。でも、もう。誰も、いない。」

 少女が、しゃくりあげる。

「外に出て、たくさん、お話聞いて。わたしは、()()びないとだめって、わかったの。でも、ひとりで、生き残るなんて、いやなの。みんながいないのは、いやなの。勇者なんて、いやなの。」
「本当に、(つら)かったですね。」

 青年が、少女の頭を()でる。

「わたしと一緒にいると、みんな殺されちゃう。あのひとに、デスピサロに、殺されちゃう。だから、わたしは、ひとりでいいの。仲間なんて、いらないの。みんなの代わりも、いらないの。」
「そうですね。みんなの代わりなんて、いません」
「だから、あなたも、ついてこないで。わたしは、ひとりで、デスピサロを倒すから。みんなの(かたき)を、ちゃんと討つから。もしも、本当に、わたしが強くなったら。地
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ