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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-04エンドールの兄弟
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シンシアに似た、優しい青年。
代わりには、ならないと言った。
無
(
む
)
理
(
り
)
強
(
じ
)
いも、しないと言った。
好意で言ってくれているようなのを、
無
(
む
)
碍
(
げ
)
にできるほど、少女の元々の性質は、頑なでは無かった。
それに、心の底では、誰かに
縋
(
すが
)
りたかった。
「……話すだけ、なら」
「では、少し場所を変えましょうか。」
唇を引き結び、
俯
(
うつむ
)
く少女を、青年が近くの教会に誘導する。
青年が神父に声をかけ、教会の
一角
(
いっかく
)
を借りて、少女と並んで腰かける。
黙りこむ少女に対し、青年が
口火
(
くちび
)
を切る。
「なにが、あったのですか」
「……村の、みんなが。魔物たちに、殺された。」
「それは、
辛
(
つら
)
かったですね」
「おとうさんも、おかあさんも。
師匠
(
ししょう
)
も、
老師
(
ろうし
)
も。宿屋さんも、
狩
(
かり
)
人
(
うど
)
さんも。見張り番さんも、倉庫番さんも。……シンシアも。」
青年は黙って、少女を見つめる。
「デスピサロってひとが、わたしを見つけて。魔物たちは、わたしを、殺しに来た。みんなは、わたしを隠して。わたしを守って、殺された。シンシアは、わたしの、代わりになって。殺された。」
少女の目に、涙が
溢
(
あふ
)
れる。
青年は、黙って待つ。
「わたしが、勇者だから。わたしがいつか、地獄の帝王を、倒すから。倒さないと、世界が、救われないから。みんな、わたしだけ、守ったの。わたしは、強く、なれるはずなのに。まだ、弱いから。みんなは、わたしを、守って。わたしのせいで。みんな、いなくなっちゃった。」
少女の
喉
(
のど
)
から、
嗚咽
(
おえつ
)
が
漏
(
も
)
れる。
「あなたのせいでは、ありません」
少女は、首を振る。
「みんな、わたしが強くなるの、待ってた。強くなったら、喜んでくれた。嬉しくて、もっと。強くなろうと、思った。でも、もう。誰も、いない。」
少女が、しゃくりあげる。
「外に出て、たくさん、お話聞いて。わたしは、
生
(
い
)
き
延
(
の
)
びないとだめって、わかったの。でも、ひとりで、生き残るなんて、いやなの。みんながいないのは、いやなの。勇者なんて、いやなの。」
「本当に、
辛
(
つら
)
かったですね。」
青年が、少女の頭を
撫
(
な
)
でる。
「わたしと一緒にいると、みんな殺されちゃう。あのひとに、デスピサロに、殺されちゃう。だから、わたしは、ひとりでいいの。仲間なんて、いらないの。みんなの代わりも、いらないの。」
「そうですね。みんなの代わりなんて、いません」
「だから、あなたも、ついてこないで。わたしは、ひとりで、デスピサロを倒すから。みんなの
仇
(
かたき
)
を、ちゃんと討つから。もしも、本当に、わたしが強くなったら。地
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