暁 〜小説投稿サイト〜
DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-02悲しみの少女
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
分が生き延びるためには、これはすぐにも食べたほうが良い。

 村を出て初めて人に会い、少しだけ蘇りかけた感情が、生き延びたくなんて無いと訴えるが、冷静な行動を()めるほどの力は無い。
 苦い木の実を噛み砕き、水で飲み(くだ)す。

 隣の部屋の木こりに、声をかける。

「色々、ありがとう。それじゃあ、わたしは行くから。」
「けっ、やめてくんな!ケツが、かゆくならあ!」

 木こりの返事を受け、家を出る。


 南にあるという城を目指し、さらに森を進む。
 何度か魔物に遭い、攻撃を受けるが、皮の鎧のおかげで、削られる体力が明らかに減っている。
 (わず)かな感情は木こりを思い出して()(まど)い、冷静な頭はこれで薬草が節約できると判断する。


 日も暮れかかった頃、城に到着した。

「ここは、ブランカのお城だ。」

 入り口にいた兵士が、教えてくれる。

「ここは、ブランカ。これが、お城。」

 立ち並ぶ(いし)(づく)りの立派な家々に、さらに立派な、巨大な建物。

 山奥の村には、簡素な()(づく)りの建物しか無かった。
 余りの規模の違いに、ほとんど麻痺した感情も圧倒される。
 元々、好奇心旺盛(おうせい)年頃(としごろ)の少女。通常の状態であれば、はしゃぎ回っていただろう。

 少しだけ浮き上がった心で辺りを見回すと、巨大な建物、城のほうから、数人の集団が歩いて来るのが見える。
 装備を見るに、旅人の一行(いっこう)だろうか。

 武器防具で身を固めた先頭の男、これは、戦士。
 続く、全身を(おお)い隠すきっちりとした服の男、これは、神職(しんしょく)の何か。
 三番目の、肩も腕も足も()き出しの軽装は動きやすそうだが、いかにも動きにくそうな(かかと)の高い靴を履き、頭には動物の毛でできた二本の(つの)のような飾りをつけた女、これは、……わからない。全体として、旅に向いた格好とは思えない。
 母と自分以外の女性は、初めて見る。外の女性は、これが普通なのだろうか。
 最後の、大きな荷物を背負った、身形(みなり)恰幅(かっぷく)も良い年配(ねんぱい)の男、これは、商人。

 好奇心の(おもむ)くまま、先頭の戦士に声をかける。

「あなたたちも、旅をしているの?」

 戦士は少女に目をやり、気安く応じる。

「ああ!ボクたちは、魔物たちを倒すために旅をしているんだ。キミも、ボクたちの仲間に、加わらないか?」

 仲間。

 村があんなことにならなければ、シンシアが一緒だったかもしれない。
 浮き上がった心が、また少し沈む。

 でも、弱い自分が、ひとりで旅するよりはと、冷静に判断する。

「仲間に、いれてく
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ