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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-02悲しみの少女
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感じないが、必要だから食糧をかじり、水を飲む。
そうして半日ほど進んだ頃、森の中に一軒の家を見つけた。
家の近くには、盛り上がった土の上に、木を組み合わせ十字にしたものが立てられている。
亡くなった者の墓であったが、見たことが無い少女にはわからない。
家の前にいた犬が
尻尾
(
しっぽ
)
を振り、
吠
(
ほ
)
えながら走り寄って来る。
「わん、わん、わん!」
少女は、飼い慣らされた動物を見たことが無い。
咄嗟
(
とっさ
)
に武器を構える。
犬が尾を
垂
(
た
)
らし、悲しそうに鳴く。
「くーん、くーん。」
外の世界には魔物だけでなく、悪意の無い動物もいるという。
少女は、剣を下ろす。
犬が元気を取り戻し、じゃれかかってくるのを見ながら、家の戸を叩く。
「開いてるよ!入ってきな!」
威勢
(
いせい
)
の良い声が聞こえ、少女は中に入って行く。
家の中にはひとりの、
髭面
(
ひげづら
)
の男がいた。
顔の半分を髭で
覆
(
おお
)
われ、年の頃はよくわからない。
「なんだ、おめえ!旅のもんかい?」
「旅の?……うん、わたしは、旅に出た。ここは、どこ?」
「ここは、木こりの家だ。……にしても、おめえ。
湿
(
し
)
気
(
け
)
た
面
(
つら
)
してるな。オレはよう、
陰気
(
いんき
)
臭
(
くさ
)
いガキは、でえきらいなんだよ!」
「……そう。わたしが、嫌いなの。」
「てめえみたいなガキは、さっさと山を
下
(
お
)
りやがれ!南に行けば、お城があるからよ!」
「わかった。南にお城ね。ありがとう。」
少女は
踵
(
きびす
)
を返し、扉に手をかける。
木こりが
苛立
(
いらだ
)
ったように、声を上げる。
「ちょっと待った!なんだ、おめえの
格好
(
かっこう
)
は!?それじゃ、旅はできねえぞ!」
(格好。服?全部焼けて、これしか無いのに。なにを言ってるんだろう)
意味を
測
(
はか
)
りかねて木こりを見つめる少女に、さらに木こりがたたみかける。
「あっちの部屋の、
壺
(
つぼ
)
の、中に!色々、入っているから!持って、行きやがれ!」
(この人は、わたしが嫌いと言ったのに。なにを、考えてるんだろう)
わずかに戸惑いを感じながらも、冷静な頭が必要なことを判断する。
「ありがとう。もらっていく」
壺の中から、
皮
(
かわ
)
の
鎧
(
よろい
)
を見つける。慣れない防具に
手
(
て
)
間
(
ま
)
取
(
ど
)
りながらも、身に着けていた普段着の上から装備する。
他にも、薬草、少しまとまった額のゴールド、本で見たことのある命の木の実を手に入れる。
村のみんなは、自分を
生
(
い
)
き
延
(
の
)
びさせるために、犠牲になった。
減った体力を回復する薬草と違い、元々の体力自体を底上げする、命の木の実。
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