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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-02悲しみの少女
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われた村で、無事だったのは地下の倉庫だけ。
 残った物で、準備を整え、旅立たねばならない。

 強張(こわば)る身体を機械的に動かし、倉庫へと向かう。

 倉庫には、保存食や薬草が、一人旅には十分な量備えてあり、少しの新鮮な食糧(しょくりょう)と、水もあった。
 倉庫番が、不測の事態に、少女がすぐにも旅立たねばならなくなった場合に備え、毎日入れ替え準備していたものであったが、感情の麻痺した少女は気付かない。
 必要な物を、必要な量取り、持ち運びやすいようまとめ、装備する。

 村の北は、高い山脈に囲まれているという。
 外に興味を持ち過ぎないよう、詳しい地理は仕込まれていないが、人里(ひとざと)を探すなら、まずは向かうのは南。

 倉庫でまとめた消耗品に大事な羽根飾り、いつも持ち歩いている(どう)(つるぎ)(たずさ)えて、少女は村を()つ。

 いつか、強くなってから。
 親しい人々に、(にぎ)やかに見送られ、旅立つはずだったその場所を。
 十分に成長したと、人にも自分にも認められぬまま。
 見送る人も、共に行く者も無く。

 少女は(ひと)り、静かに旅立つ。



 深い森の中、木々の間からのぞく太陽を頼りに、ひたすら南を目指す。

 途中、魔物に()う。
 魔物の中では最弱のスライムだが、村を初めて出る少女には、初めて()()う魔物である。
 しかし、感情の麻痺した少女には驚きも無く、仕込まれた知識と技で、機械的に対応する。

 まだ子供の自分には、師や他の大人のような力は無いが、魔力も多くは無い。先の見えない旅路(たびじ)で、魔力の浪費(ろうひ)はできない。
 薬草の備えは、十分にある。一撃で(ほうむ)れなくとも、こちらの致命(ちめい)(しょう)()け、倒せれば十分。

 少女は淡々(たんたん)と斬りかかる。初撃(しょげき)をかわされ、反撃される。
 痛いと思う気持ちは無く、ただ体力を(けず)られたことを、自覚する。
 動作を修正し、再度斬りかかる。今度は当たり、反撃はかわす。
 三度(みたび)斬りかかり、倒す。

 倒した魔物は、ゴールド、つまりお金や、道具を持っていることがあるという。
 村でお金など使わないため、知識としてしか知らないが、旅には絶対に、ゴールドが必要になるという。
 どろどろとした体液を流す魔物の死体を、躊躇(ちゅうちょ)()くさぐる。
 少しのゴールドと、薬草を見つける。
 体力は削られたが、まだ薬草を使うほどではない。
 戦利品をしまい、再び南を目指す。

 何度か魔物と戦い、必要を感じれば薬草も使う。
 途中で力尽き動けなくなり、昨日の朝を最後に何も食べていないことを、思い出す。
 空腹は
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