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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-01山奥の少女
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が、叫ぶ声を()めさせる。

 扉は開かず、出口は見つからない。
 しゃがみ込み、膝を抱えて、叫び出したい気持ちを抑え込む。

(大丈夫。シンシアも、師匠も老師も、おとうさんもおかあさんも、他のみんなも。みんな、強いんだもん。魔物なんかに、負けたりしない)

 武器のぶつかりあう音、呪文の詠唱(えいしょう)の声。

(立派な、ユウシャって?ただ、強くなるだけじゃ、なかったの?)

 怒号(どごう)、悲鳴、爆発音。

(本当の、親って?そうじゃないって、どういうこと?)

 他の家族を知らない少女には、意味するところがわからない。

 減っていく、音。

(わたしの命が、狙いって。もしも、みんなが。わたしのせいで。ううん、そんなことない。きっと、大丈夫)

 ()(ぶと)い声が響く。

『デスピサロ様!勇者ユウを、()()めました!』

 玲瓏(れいろう)な声が、(こた)える。

『おお、でかしたぞ!よくぞ、勇者を仕留めた!貴様には後で、(ほう)()を取らせよう。では、(みな)(もの)。引き上げだ!』

(……ユウシャ、ユウって。わたしは、ここにいるのに。デスピサロ、って。あのひと。)

 重い足音が、遠ざかって行く。


 (あた)りが静まりかえっても、少女は動けずにいた。
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