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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-01山奥の少女
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ごと)(がら)、あいつはいつも宿に人を泊めたがっていたからな。全く、仕方の無い奴だ。」

(宿屋さんなのに、人を泊めたらいけないなんて。やっぱり、変なの)

「おかあさんが、待ってるから。もう行くね」
「ああ。気を付けて帰れよ」

(まだ子供だからって、いまさら転んだりしないのに。なにに、気を付けるんだろ)


「ただいま、おかあさん。お弁当、届けてきたよ」
「お帰り、ご苦労だったね。お前もすぐ、ごはんにするかい?」
「うん。早く食べて、師匠のとこに行くんだ」
「じゃあ、そこにお座り。すぐに支度をするから。」

 母は台所に向かい、少女が手を洗って席に着いたところで、宿の主人が駆け込んできた。

「つ、(つい)にこの村が、魔物たちに見つかったんです!奴らは村の、すぐ(そば)まで来てて!」
「まあ、大変!」

 母が少女に駆け寄り、腕を引いて立ち上がらせる。

「ユウや、私のことはいいから、すぐにお逃げ!」
「え?逃げるんなら、おかあさんも」
「さあ、私について来てください!」

 宿の主人は少女の手を引き、強引(ごういん)に家から連れ出す。

「待って!どうして、わたしだけ逃げるの?おかあさん!」


 家を出ると、見張り役の男が声をかけてくる。

「魔物は、俺たちで食い止める!ユウを早く、安全なところへ!」
「わたしも戦えるよ!逃げるなら、みんなで逃げようよ!」
「いいから、行け!」

 宿の主人は少女を引きずり村の奥へと向かい、見張り役は村の入り口へ走って行く。

 シンシアが駆け寄って来る。

「ユウ!君にもしものことがあったら、僕は……。とにかく、隠れて!僕も、すぐに行くから!」
「シンシア!絶対だよ、ちゃんと来てね!」
「ああ!」

 シンシアの約束に少し落ち着きを取り戻し、少女は連れられて行く。

 剣の師が、こちらに向かってくる。

「くそー!魔物どもめ!遂に、ユウの居場所を突き止めたか!もう少し時間があれば、ユウを立派な勇者に育てられたのに!」
「立派な、ユウシャ?」
「私も、魔物を食い止めに向かいます!あとは、お願いします!」
「ああ、俺もすぐに行く。ユウ、ついて来い!」

 師に連れられてさらに走る中、父の姿を見つける。

「おとうさん!」
「ユウ!」
「おとうさん、魔物に見つかったって、みんな、わたしを逃がそうとして」
「ユウや、遂に来るべき時が来たようだ。今まで黙っていたが、私たち夫婦は、お前の本当の親では無かったのだ。」
「本当の、親?」
「詳しい話をしたいが、今は時間が無い……。さあ、早く隠れるのだ。」

 父も、村の入り口へ向かい走って行く。

「おとうさん!待って!本当のって」
「行くぞ、ユ
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