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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-01山奥の少女
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。頑張る」


 老人の元で魔法の講義を受け、魔力を高める瞑想(めいそう)を終えて、昼食までの(わず)かな時間、村内(そんない)を散歩する。

 村の入り口に近づき、見張り役の男にいつものように止められる。

「村の外へ出たいのか?まだ早い。今のお前では、まだまだ力不足なのだ。」

 毎日の恒例(こうれい)のようなものなので、止められて素直に引き下がり、さらに歩き回る。


 外の者など訪れたことの無い村の中、いつものんびりとしている宿の主人が、慌ただしく動き回っている。

「宿屋さん?」
「うわっ!……な、なんだ、ユウか。驚かせないでくれよ。」
「なんで、おどろくの?」
「……内緒にしてくれよ。実は、村の(おきて)を破って、迷い込んできた旅人を泊めてしまったんだ。」
「……泊めちゃだめなら、どうして、宿屋さんをやってるの?」
「それは、もしもの時に()ぎ回られたりしないように、って。いや、村には宿屋があるものなんだよ。じゃあ、忙しいから、またね。」

 宿の主人は、どこかに行ってしまった。


 まだ未熟(みじゅく)な少女は、出ることを許されない村の中。
 本来訪れることの無い、外からの旅人。


 少女は、宿の中に入って行った。



 宿の中には、美しい青年がいた。

 シンシアのような尖った耳をした、しかし彼とは違い、ひどく冷たい雰囲気を(まと)った、長い銀髪(ぎんぱつ)の青年。

(なんだか、こわいひと)

 少女は声をかけることなく、ただ青年を見つめる。

 青年が少女に気付き、顔を向ける。

 と、冷たい空気は霧散(むさん)し、(ひと)()きのする()みを浮かべた。

「ほう……。この村には、君のような子供もいたのですか。」
「……」
「そう、警戒しないで。私は、旅の詩人(しじん)山道(やまみち)で迷ってしまい、この村に辿(たど)り着いたのです。」
「……しじんって、なに?」
「詩を作り、歌を歌う者のことですよ。」
「歌を、歌うの?上手なの?」
「詩人を、名乗っていますから。それなりには。なにか、歌ってみましょうか?」
「うん。ききたい」

 そうして、青年は歌い出す。
 母やシンシアが歌ってくれるものとは違う、少女の聴いたことの無い、美しくも不思議な歌を。

 知らない景色、知らない種族。まだ見ぬ世界を(うた)う歌。
 少女は歌の世界に引き込まれ、聴き()れる。

 歌が終わり、少女は(ほお)上気(じょうき)させて賞賛する。

「すごいね!こんなの、初めてきいた!シンシアもすごく上手(じょうず)なんだけど、あなたもすごいんだね!」
「ありがとう。こんな山奥に村があったとは、聞いたことが無か
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