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子虎迷走記
第8話 気付いた心、互いの始まり 後編
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。先生、ちゃんとその子を持っていてね」

それにレックスは何とか頷き答える。
それを確認したメイメイさんは呪文を唱え始める。

「……四界の力を秘めし石よ、今こそあるべき所へ帰らん。天地万象……四界天輪……龍命祈願……四元回帰……星の巡りよ……意思の子の力と心を取り戻したまえ……。王命に於いて、疾く、為したまえ!」

紫の石はふわりとユエの額に入って行く。
その瞬間、子虎の体が光り始めた。

すぅっと黒い毛並みは白くなると同時に傷はいつの間にか消え。

開かれた目は赤から元の金に。

子虎はするりと抜け出し、レックスの前に立ってレックスを見る。
レックスはそんな子虎を見て微笑み……

「おかえり……ユエ」

「ガウ!!」

子虎……ユエは元気良くそれに答えた。

レックスはその様子を見た後、ふらりと倒れてしまう。

「大丈夫ですよ。この人は私が死なせません」

待機していたヤードがすぐにレックスの治療を開始する。
それを見たユエはレックスを守るように敵に向き、咆哮した。

その瞬間、ユエの体は光り始め大きくなっていく。
光が消えるとそこには一匹の白い虎がいた。

力強い四肢、神秘的な白い毛並み。

虎、ユエは咆哮し敵に向かう。

その変化に周りは驚いて動きを止めていたが。

「お前らぼさっとすんな!ユエに続け!!」

「わ、わかってるよ!」

「ふふ、なんだかユエちゃんすごく逞しくなったわね。これは負けてられないわ!」

カイルの声にそれぞれが動き始める。

「僕達も行こうテコ!」

「ミャ!」

「こんどは僕が先生を助ける!」

ウィルもテコと共に戦場に向かう。



そして戦いは帝国軍が痛手を受け撤退と言う形で終わった。



それから次の日。

レックスは体の重みと手に暖かさを感じて起きた。

自分の上で丸まっている子虎と自分の手を握り締めて眠る生徒。
じっと見ていると二人は起きた。そしてレックスに抱きつき泣いた。

ウィルは自分の思っていた事をレックスに話し、レックスも自分の思っていた事を言う事で二人はお互いに気付き、絆を深めた。
そして……

「君の声は、今はもう分からない。けど、言いたい事はなんとなく分かるよ」

向き合うレックスとユエ。

「俺達は相棒だろ?」

ユエはまっすぐレックスを見る。

そして……

「ガウギャオウ!!」

「こちらこそ、これからもよろしく。ユエ」



これは、始まり。

お互いに気付き、思い、信じる。

絆の始まり。







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