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子虎迷走記
第8話 気付いた心、互いの始まり 後編
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ユエはそのまま、標的をレックスに移し……

「があアアあああアああああ!!」

血が飛び散った。

崩れ落ちるように膝をつくレックス。

「せんせぇぇぇぇぇ!!」

ウィルの叫びが戦場に響いた。



その瞬間、戦場の時が止まったかのようだった。









そんな中。

「がァ!?」

子虎の声がする。
レックスが子虎を抱きしめていた。

「声が……聞こえたんだ」

レックスは俯いていて表情は見えない。

「暗いよ、苦しいよって……迷子の子供が……不安そうに泣く声が聞こえたんだ」

ぽつりと呟く。

「俺は……君の声を知らない。でも……わかったんだ……」

ぽつりと涙が子虎に落ちる。

「君の……ユエの声だって……」

「があァ……」

子虎が苦しそうな声を出し、爪を立てる。

血が流れていく。

「俺はここにいるよ……だから、戻っておいで……」



「ユエ……」

子虎の目から涙が零れ落ちた。



その様子に敵の兵士達は今が好機と一斉に襲い掛かる。

そしてレックスに刃が振り下ろされた。

誰も助けられない状況に皆が絶望した。

レックスに刃が当たる瞬間。

金属音と共に敵の剣が吹き飛んだ。
そして戦場に似合わないのんびりした声が響き渡った。

「ちょーっと危なかったわねーでも、ジャストタイミングってとこかしらーにゃははははは♪」

「メイメイさん!?」

驚いた誰かの声が聞こえた。
何故か今までいなかったメイメイさんが突如レックスの目の前に現れ、敵の剣を弾き飛ばした。

敵は突如現れたメイメイさんに戸惑う。
そんな敵をメイメイさんは召喚獣で吹き飛ばした。

「よく頑張ったわね。この子をここまで引き戻すなんて正直ちょっと驚いたわ」

すっとしゃがんだメイメイさんは真面目な表情でレックスを見る。

「メイメイ……さん」

「はーい、喋っちゃだめよ。致命傷は避けてるけどかなりやばい状態だから。でも、ユエをこちらに向けて持ってくれないかしら?」

レックスはメイメイさんの目を見て素直にユエをメイメイさんに向ける。

それを確認したメイメイさんはカイル達の方に向く。

「少し時間稼ぎをお願いできるかしら?ほんとに少しのまで良いわ。それとそこの召喚師は何時でも先生を回復できるように準備して」

「なんだか知らねぇが、ユエを戻すのに必要な事なんだろ?だったら俺達に任せな!」

カイル達はそれに応じる。
メイメイさんに呼ばれたヤードも準備に取り掛かる。

それを見たメイメイさんはどこからか見覚えのある形の紫色の石を取り出しユエを見る。

「いくわよ
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