第17話
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「そんなことがあったんだね…」
アスナが聞いてよかったのかと不安な眼をしていた
「気にしなくて良いよ、アスナ。それに、私は今幸せだよ」
つい、サチの腰に手を廻し、ぐいっと近寄せたくなった
が、この空気で出来るほど俺は勇者じゃない
そのかわり、サチの頭に手を添えた
「過去に囚われんのは今日で完全に終わりみたいだぜ、キリト」
「…あぁ」
過去は教科書になって、そこから学んだ事をこれからに活かす
この世界で学んだ事だ
「…それより、武器の手入れしたいからリズのとこ行かね?」
「今からか?」
俺はサチに聞いたんだが何故かキリトが、それも質問に質問で返してきた
「あぁ、二人とも積もる話もあるだろ」
「なるほどね、なら行こっか」
不意に右手に柔らかくあったかい手が紡がれた。一瞬キリトとアスナの頬が赤くなった気もするが気にしないのが一番だ
「じゃあな、キリト、アスナ。また今度一狩り行こうぜ」
「お、おう…全然人目気にしねぇな」
最後の方は聞き流した
キリトと拳と拳をぶつけてから外へ出る
そのまま俺達は武器や防具で度々世話になったりならなかったりしている、≪リズベット武具店≫に向かった
「サチ、今日は外食にすっか」
なんの脈絡もない提案にサチは驚く事もなくさらっと答えた
「いいよ――」
その言葉と共に紡がれていた手が離れ、今度は腕に腕をからめて来た
少し恥ずかしい気もするが、嫌ではない
「うしっ!じゃあちゃっちゃと行こうぜ!」
「うん!」
と言っても歩む速度は上がらない。俺もサチも今のこの体制を終わらせたくないのだ
もちろん家に帰ればいくらでも手を繋げるが、それとこれとは少し違った雰囲気を感じさせてくれる
腕を組みあったまま転移門をくぐり、リズが営む≪リズベット武具店≫がある48層主街区≪リンダースの街≫に向かった。ちなみに≪リズベット武具店≫はキリトに教えてもらった
リズの武具店に着くと、心地よい水車の回る音と共にリズの鉄を打つ音が聞こえてくる
「うーっす」
「久しぶりー、リズ!」
熱心に鉄を打つ少女は俺らの声に弾かれたように顔を上げた。その顔は久しぶりに会う俺達に向けた笑顔が浮かんでいる…と思ったのだが、予想外にもリズの顔は焦っていた
「レイ!サチ!良いところに来てくれた!」
厄介事に巻き込まれるのを危惧した俺はさりげなく後ずさりしようと身構えたが無駄だった
「逃がさないわヨォ」
「なら人が逃げたくなるような顔すんな!」
「リズ…顔怖いよ…」
「仕方ないじゃん!こっちは今日納品の武具がまだまだ溜まってんのよ」
とりあえず話だけは聞くことにした。普段ならカウンタ
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