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妖刀使いの滅殺者
第16話

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「ふぅ――やっぱレイにゃかなわねぇか…」

「そんなことないぞ?強運に助けられただけだし」

黒印を鞘に納め、座り込んでいるキリトの元に歩み寄る
サチも同様にして歩み寄る

「…レイ、お前と剣を交えて分かったよ」

「?何をだ?」

俺は腕を組んで見下ろしながらキリトが得たものを問う

「俺、やっぱりまだまだ弱い。レベル云々じゃなくて大切なのは心なんだな。今の決闘だってレイはどんな逆境でもあきらめなかったし…。やっぱり、俺はまだまだだ――」

少し照れくさそうにしてキリトが答える。それを聞いて何故かサチが涙していた
俺は組んでいた腕をそっとはずし右手をキリトの「頭上」に差し出し…

「ばーか」

と言って垂直に手刀をお見舞いした。もちろんダメージ判定はない

「って!?何すんだぁ!!」

頭を抱えながら訴えるキリト。サチも頭上に?をうかばせている

「さっきの決闘で学んだのか、それ?」

「…あぁ」

俺はもう一回手刀をお見舞いした

「ったい!?何なんだ!!?」

「はぁ―――。キリト、お前バカか?いや、バカだ。剣を交えただけで俺の気持ちが読み取れる訳ねぇだろ」

「ちょ、レイ!?」

サチがこらえきれなくなったバネのように大きく弾けながら声を上げた

「じゃ、じゃぁ、今の決闘は!?」

「俺が単に決闘したかっただけ」

「なんじゃそりゃー!!」

俺はふふっと不敵な笑みを浮かべてようやくキリトに手を差し伸べた

「…キリト、俺から伝えるの言葉はな」

「あ、あぁ」

「お前は死ぬなよ」

「!?」

死ぬな。たったそれだけで十分だった
キリトは声にだして答える代りに俺の手を強く握った
そしてサチが俺達の手に自分の手を強く重ねた

―――この世界、失うものも大きければ得るものも大きいな

そんな事を考えながらその夜、俺達3人は宿のレストランに向かって一列に歩いて行った
その姿はまるで月夜に集う黒猫のようだった―――

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