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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十話 散り逝くものと現れる雷光
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人生にするために自滅覚悟でヴィルヘルムを道連れにしようとする自分が居た。

「Auf Wiederseh´n. とは言わないよ。どうせ行き先はお互いに地獄だろうしね」

ピン、とえらく甲高い音がなる。それが俺が手に持っていた丸い物体で有る事に気付いたヴィルヘルムはそれを見て驚愕していた。

「テメェッ!?」

持っていたのは特殊な爆弾。唯の爆弾とはわけが違う。本来の手榴弾は火力そのものよりも爆発した際の金属片による負傷が目的なのだ。
だがこれは火薬の量そのものが桁違いあり、火力はそのあたりに手榴弾などに比べても圧倒的な代物。ついでにいうなら俺の込めれる限りのありったけの魂を注ぎ込んだ特注品。生前、白き狂獣と戦ったときに最後に使った相打ち用の兵器。俺の手持ちの最凶の武器。

(ドライ)(ツヴァイ)(アイン)(ヌル)

カウントダウンを唱え、それが零となると同時に目を覆い尽くすような熱量を持って爆発する。痛みは無い。そんな感覚はとっくの昔に麻痺してしまったのだろう。焦っている様子を見せていたヴィルヘルムの顔を見て笑ってやった。まあ、どうせ最後に見るなら美少女とかの顔の方が良いなと思ったけど。
そして、ふと思う。今しか見ず未来も過去も省みないような俺が未来を何度か考え、挙げ句、二度目の生を受け入れたのは、もしかしたらアイツ等の為だったのではないかと。
だったらまだ俺にも人間らしい友を思う心とか有ったのかなって思えて……それが何となく心地良いような気がして―――――――――――――――



******



爆発、轟音、目の前を駆ける熱量はとても目を開けていられるようなものではなかったが、それでもオレは目の前の光景に目をそらす訳にはいかなかった。何を思ってなどとは言わないし、如何してなんて詰らないことも尋ねはしない。
ただ、アイツが命散らせてでも創った最大にして最後の一筋の勝算。それを無駄にする気も無為にするつもりも無かった。

「エリーッ!!」

『わかってるっての!』

恵梨依は自身の姿を形成し、オレと背中合わせで銃を構える。コルト・キングコブラとデザートイーグルを互いに構え、いつでも共に引き金が引ける状態だった。

「オオオオオオオォォォォォォォッッッッ――――!!!この畜生がァァァァッッ!!」

「往生際悪いぜ。潔く、さっさと地獄(ヴァルハラ)に落ちるんだな」

『だよねぇ、しつこい男は嫌われちゃうわよ』

体中が焼け燃えながらもそれを振り払い目の前の吸血鬼は倒れることをよしとしない。

「誰がァ、死ぬかッ!俺は死なねえぞ。夜の吸血鬼は不死身なんだよォ!!」

咆哮を上げながらオレ達を見据えるヴィルヘルム。全身は焼け爛れ、一見その体に無事な所な
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