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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十話 散り逝くものと現れる雷光
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―――教会―――

何かが崩れ去った音が聞こえる。それが一体何なのかはヴィルヘルムの知るところではない。だが、彼にとって一つ確信できたことはこの戦いがどうしようもなく愉しいものだという事だった。

「あー、何だこれは?アレか、まさかあの糞気狂い馬鹿の言ってた腐れ理論ってやつかァ?如何すリャ良いんだよ、最高ォに爽快過ぎて逆に嗤えてくんぞ」

彼は既にメルクリウスの呪を他ならぬアルフレートの干渉、ティベリウスによってシュライバーを殺し解かれている。故に、彼が至る行いはメルクリウスからの干渉を受けぬ限り、ある意味では未知といえた。
勿論、この場が未知に至った理由はそんな些細なことではない。だが、何一つ関係が無いかと問われれば疑念の余地が出てくる程度には関係があると言えた。その原因が何なのかは彼等の知りうることでは無いが。

「クハハハッ、逝けや、ヴァルハラァァ―――!!」

「ッ!不味ッ―――!!」

ともかく、遊佐司狼等にとってデジャブが消え未知を得たことは喜ばしいことではある。が、今の状況で楽観視出来ないものがある事も事実であった。
既知を知る故に回避できた死。それを失えば当然、死なないという理不尽な不滅性は失われる。
当然、ヴィルヘルムはそれらの出来事を知らない。知ることなど出来るはずもない。それを元々信じていないということもあるし、知ろうと考えることすらない。ヴィルヘルムに取ってそれは如何でも良いことであり、今現在、彼が欲しているのはこの闘争の決着のみであるといえる。

「良いぜェ、もっと俺に見せろや。何か有んだろ、考えて来たんだろ?俺を絶頂させろやァッ―――!!」

無機物すら砂のようになり始め、溶け出していく中、司狼達は寧ろ笑っていた。

「ハッ、ヤロウ…いつまでも吼えれると思うんじゃねえぞォ!」

ヴィルヘルムは先程の司狼の攻撃を受けても殆ど致命傷を負わなかった。魂の総量が増え、身体能力の強化と共に感覚が鋭くなったのが原因である。
つまり、司狼達の攻撃は不意打ちですら余程の策でなければ通用しないということだった。

《で、如何するわけ。アンタ達なんか策あるの?》

「策ねぇ?月を壊すとか如何よ?」

「如何って、ドヤ顔で何言ってんだよ。んなこと出来たら苦労しねぇって」

司狼もティトゥスも吸精を喰らいながら戦い続け、疲労感と共に傷も増え続ける。ジリ貧だとは分かってても反撃の機会すら徐々に減り始め、追い詰められる。
そして、最も早く膝をついたのはティトゥスだった。失っていた左腕とこれまでの無茶の連続によってとうとう力尽き始めていた。

「ッ…まだ終わるわけには往かないよね。こんなに満ち足りてる戦い何だからさ」

己の限界に至ろうとも強者との戦いに勝つために抗うティトゥス。だが、二
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