立志の章
第7話 「俺に任せろ! 必ず助けてやる!」
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そんな物思いに耽っていた時だった。
「失礼します。お休みのところ申し訳ありません。北郷様は起きていらっしゃいますか?」
扉の向こうで誰かの声がする。
「ああ、起きていますよ……どなた?」
俺は椅子から立ち上がり、扉を開ける。
そこには侍女が深々とお辞儀をしていた。
「お休みのところ、申し訳ありません。実は北郷様に面会を求める方がいらっしゃったのですが……」
「面会? こんな時間に?」
「はい……一応、明日にしてはとお伝えしたのですが、急用だと……」
「ふむ……誰?」
「ご本人は『華佗』とおっしゃっていましたが……」
「!!」
俺は、衝撃に目を見開く。
「す、すぐに逢わせてくれ! どこにいる!?」
「あ、は、はい……こちらに」
侍女に案内され、逸る気持ちを抑えながら客間に着く。
そこには茶を飲みつつ座っている華佗がいた。
「華佗!」
「おお、北郷。先日以来だ。夜分すまないな」
「それはかまわない……なにかわかったのか?」
「うむ……実はちょっとした情報があってな」
「それは、一刀の……?」
「ああ」
華佗の言葉に期待が膨らむ。
「目覚めさせる方法がわかったのか!?」
「いや、確実ではないんだが……まずは落ち着いて聞いてくれ」
逸る俺を嗜めてくる。
わかっている。焦っては意味がない。
「実は、あれからすぐに仲間の……五斗米道の情報網を使って彼のような症状を調べようとしたんだが。その際に妙な伝言があってな」
「妙な伝言……?」
「ああ、なんでも仲間が『貂蝉』という人物から伝言を頼まれたらしい。北郷という名前の人間が五斗米道に接触してくるだろうから、もし困っているようなら本人を連れて『ある場所』に華佗と共にくるように伝えて欲しい、と」
「貂蝉……? 誰だ?」
「わからん。俺も初めて聞いた名前だ。ただ、連絡を受けた人からは容姿を見て驚くな、ということだけは聞いている」
「……そうか」
貂蝉、か。そんな英雄はいなかったような気がするが……くそ、一刀ならわかっただろうに。
「で、どこに連れてこい、と?」
「それがちょっと問題でな……五斗米道の総本山である、『鶴鳴山』というところがある。そこは代々、五斗米道の者しか入れない場所なんだが……なぜかそこで待つ、ということなんだ」
「……つまり、俺は一緒には行けない、ということか?」
「ああ……申し訳ないがそうなる。一応、場所も秘匿することになっているから道中の同行も認められない」
そんな場所に一刀を預けねばならんのか……
「……そこにいけば一刀は治る、のか?」
「わからん、としかいえん。ただ、総本山には俺もまだ知らない治療法が眠っている。長老の中には俺の及
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