立志の章
第7話 「俺に任せろ! 必ず助けてやる!」
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あればこんな傷も受けなくて済んだのだが……
(言っても詮無いことか。ぶっちゃけ修行不足ってことだな。俺もまだまだ……)
これが先輩たちに知れたら情けない、とかバッカでぇ、とかいわれそうだ。
特に大槻あたりにはニヤニヤと、嘲笑されそうだ。
アイツ、普段スプリガンのトップとセカンドの先輩二人に散々こき使われているから、俺と一刀を後輩だといって先輩風吹かすことがある。
確かに俺たちが今着ているAMスーツは、アイツのデータを元に統合試作型として調整されたものだ。
だからといって同世代の奴に先輩風吹かされてもな……下手したらこっちが年上の可能性もあるのに。
(そういやムーンライトソードを賭けて、模擬戦やろうっていってたんだがな)
月光剣――大槻がアーカム研究所から勝手に持ち出して、いつの間にか私物化した遺物。
確か、ティアさんに散々説教されたけど先輩たちとの賭けに勝ったから、という理由で自分のものにしたと聞いていたが。
(一刀が欲しがってたんだがなあ……高周波振動ブレードだと居合ができないってぼやいていたし)
俺の近接格闘はナイフとCQCだし、基本守勢だから遠距離攻撃の銃が主体だしな。
とはいえ……こっちの世界に銃は持ってきていない。武装は携帯していたナイフのみ。全部あのときに置いてきてしまった。
(武器、か……当面はナイフでいいか。どの道、こっちでAMスーツを傷つけられるのはほぼいないだろうし)
AMスーツの物理防御力は、この世界のどんなものより優れている。それこそ岩に潰されても動けなくはなるが圧死することはないだろう……十トンぐらいまでは。
さすがにそれを超える衝撃だとAMスーツのパワーフィールドでも相殺できない。
それに連続で強い衝撃を喰らえば、スーツはともかく中身が持たない。パワーフィールドとて万能ではないのだ。
(何より怖いのが……ここが中国ってことなんだよな)
そう。AMスーツが最も恐れる技……浸透撃。
AMスーツのパワーフィールドを無効化し、身体の内部に打撃を与えるAMスーツ殺しの技。
かつて仙人といわれ、スプリガン最強を誇った朧という男。その男にかかればAMスーツとてただの服でしかない。
(中国拳法の達人ならば浸透撃の使い手もいるはず……用心しないと本気でやられる)
先輩のツテで朧と模擬戦をしたときは、一刀で三分。俺で五分ともたなかった。
硬気功も怖いが、軽気功も怖い……正直、あれはトラウマだ。
そんな達人がこの世界にも……いや、英雄豪傑が数多くいるこの時代ならば、確実に存在すると考えるべきだ。
(味方ならともかく……敵になったらやっかいなんてもんじゃないな。対策は考えておかないと……)
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