立志の章
第7話 「俺に任せろ! 必ず助けてやる!」
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なひどぉい!」
「「(にゃ)ははは」」
そんな笑い話に華が咲く三人。しかし私は空を仰ぎ、目を細める。
(――いずれ、動乱が来る)
予感めいたものが私の脳裏にこびりついて離れない。
(その時私は――主を得ているのだろうか?)
自らが求める主……その主の姿がなぜか一人の男の顔に――
「そういえば、盾二がけがしたんだって?」
「!」
私は、酷くうろたえた自分に疑問を抱きつつ、それを表に出さないように顔を引き締めた。
「うん……私を庇ってね。ご主人様に迷惑かけちゃった」
「そっか。まあ大事無いならいいよ。それにしても……盾二、すごく強かったんだな」
そうだ。聞いた話ではたった一人で賊のほとんどを倒したらしい。
直接殺しただけでも短時間で実に千人を超えた、と聞いている。
「うん……ご主人様、自分は守勢は得意だけど、攻勢は得意じゃないから愛紗ちゃんたちに任せる、って言ってね。自分は一人で突撃して、ほとんどの賊の人たちを倒しちゃったの」
「……確か、盾二って自分の武器は腰の短刀だけだったよな? それだけで千人も?」
「うん。何でも『あーまーどまっするすーつ』っていう服のおかげで、剣も矢も通らないんだって」
「……そりゃすごいな」
なんと……剣も矢も通らない服? そんなものがあれば無敵ではないか。
「うん。まあ頭は無防備だからそこ狙われたらけがしちゃうけど……私を庇ったときも額を切られちゃったし。でも、一人で賊を倒したのは本当だよ」
「ああ……あの遺体はまさしく短刀で『斬られた』か『殴って殺された』ってのが多かったけど……まさか素手で殴っただけで、頭を砕くほどの力とはな」
千人を一人で殺す。まさしく『一騎当千』。しかも、模擬戦のときのように軍略にも優れている。文武共にこれほど見事とは……
(む? 私は何を考えているのだ?)
一瞬浮かんだ考えが何なのか、自分でもわからずに思い出そうとするが……
「とにかく、盾二のけがの手当てもある。賊の捕縛と遺体の処理が終わったら都に戻るぞ!」
白蓮殿の宣言に、その考えは霧散してしまった。
―― 盾二 side 北平 ――
賊の討伐後、俺たちは都に戻ってきた。
隊は解散し、今はそれぞれ宛がわれた部屋で休んでいる。
すでに日が暮れ、夜の帳が下りる頃。
俺は夕食を食べ、膨らんだ腹に満足しつつ額に手を当てる。
額の傷は結構深かったが、何とか止血も済み今もバンダナのように布を巻いている。
(ヘッドガードがあれば、こんな傷もなかったんだがな)
向こうの世界で、一刀を担いで逃げるときに落としてきてしまったオリハルコン製のヘッドガード。
あれが
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