第一幕その五
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それは凄いことだとトムスキーは声をあげた。やはり当時のロシア人にとってフランスは憧れの国でありパリといえば文化そのものであったのだ。
「私に声をかけてくれる殿方も大勢いらっしゃいました。その中に」
「その中に」
「あのサンジェルマン伯爵もおられたのです」
「あの方がですか」
トムスキーも彼のことは聞いていた。
「はい」
サンジェルマン伯爵とは歴史に名高い謎の人物である。錬金術を極めた賢者だとも詐欺師だとも言われている。知らぬことはないとまで言われていた。彼がどれだけ生きているのかは誰も知らない。全てが謎の人物でありこの時代においてもそれは同じであったのだ。
「あの方に教えて頂いたことがありまして」
「それは一体」
「どんなことですか、御婆様」
「あの時私はカードで負けてしまいまして」
「カードにですか」
カードのことを口にしたのだった。
「それで当時親しかった伯爵に教えて頂いたのです。それも無償で」
「無償で!?」
「あの方はお金も女性も全く興味の無い方でしたので」
「どうやらそうらしいですね」
トムスキーはその話を聞いて述べた。
「あの方は何でも金を作り出せたとか」
「そうです」
「それは本当なのかい!?」
ゲルマンはそれを聞いて友に問うた。
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