佐天と能力
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ともに廊下にでる。そしてしばらく歩いていると、ふと佐天が立ち止まる。先ほどまでの笑顔は消えてしまっている。
「どうした?」
「・・・神谷はシステムスキャンのこと聞かないんだね。」
佐天の言葉に蓮は少し黙りこむ。
「聞いてほしいの?」
「・・・分かんない。」
蓮の問いに佐天はそう答える。
「能力なんかなくても平気って言っててもやっぱり憧れるし、無能力者の自分が惨めにもなるし・・・」
そう言って佐天はうつむいてしまう。佐天はレベル0。無能力者だ。普段は能力なんかなくてもなんともないと言う様に明るく元気な佐天がたまに見せる能力者への憧れ。コンプレックスのようなもの。レベル5の蓮にはどうにもできない。高レベルの能力者が同情してもそれは慰めにもならない。
「じゃあ聞かないよ。いつか佐天が笑って自分から話せるようになるまで俺は聞かない。」
だからこんなことしか言えない。佐天は顔を上げる。
「いつか笑って話せるのかな・・・?」
「それは佐天しだいだな。ただ・・・」
佐天の目をまっすぐに見て言う。こんなことしか言えないけど、それでも心をこめて言ってやる。
「佐天ならできるって俺は信じてる。」
「ありがと、神谷・・・」
佐天は暗かった表情を笑顔に変えてお礼を言う。
「あたしがんばるよ。神谷と笑ってこの話ができるように。」
「おう、がんばれ。」
蓮の返事に佐天はとびきりの笑顔をつくる。そして蓮の手を引いて走り出す。
「よ〜しっ、じゃあ早く初春見つけて遊びに行こう!!!」
「さっきがんばるって言ってたのに遊び!?能力の練習とかじゃないの!?」
「それはそれ、これはこれ!今日は遊びに行かなきゃ損でしょっ!」
「うわっ!分かった!分かったから引っ張るな!!」
蓮の手を引いて走りだす佐天の笑顔はいつもの明るいものだった。
それからいろんな所を探したが初春は見つからない。2人は走りつかれていったん立ち止まる。
「う〜ん、いないな・・・。帰っちゃったのかな?」
「初春に限ってそれはないだろ。」
「ならどこにいるんだろ?」
「もう外で電話したほうが早くない?これ以上走り回りたくない。」
「そうだね。」
そうして佐天と蓮が階段を下ると外に頭に大きな花飾りをつけた少女がなにか電子機器をいじっているのが見えた。
「あっ!あれ初春じゃない?」
「あんなとこにいたのか・・・。じゃあさっさと声かけて・・ってスケボー教室に忘れたし・・・」
「取りに行く?」
「うん、先に初春のとこ行っといて。あ、あと挨拶は済ませといてね?」
「分かった。待ってるね。う〜い〜は〜るぅ!!!」
そう言って佐天は初春めがけて走り出す。そして蓮がため息をついて
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