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前略、空の上より
第三話「四様料理」
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一見すると砲弾のようにも見える。


「なんでおにぎり?」


 首を傾げたニンフの問いに俯いて指をもじもじと合わせていたハーピー姉は羞恥で悶えながらも答えた。


「その……私ってほら、タナトス姉さんと違って不器用で料理できないし……リリーに聞いたら、自分が作れるものにしたらって言うから……ならせめて、下手なものを作るよりかは簡単なおにぎりをと思って……だから、その……」


 かあっと顔を赤らめ、再び俯く。


「ああっもう! 可愛いなぁ、姉さんは!」


「ちょっ、こら、抱きつくな!」


 姉妹でスキンシップを図るなら、おにぎりを一つ手に取った。


(うーむ、なるほどねぇ。まさかハーピー姉が――ミリアがそんなことを思って作ってくれたとは……)


 なら、作ってくれたミリアのためにも、美味しく頂きましょう!


「いただきます」


「あっ――!」


 茫然とこちらを見つめるミリアの前で大口を開けてかぶりついた。


(強くにぎり過ぎたのかちょっと堅いけど……うん、塩も効いていて美味い)


 何より、不器用ながらも俺のために一生懸命作ってくれたという、その心遣いが堪らなく嬉しい。


「うん、美味い!」


「ホントですか!? ……よかった」


「よかったね、姉さん」


 安堵の息を洩らすミリアを見て我がことのように喜ぶリリア。仲の良い姉妹愛に自然と俺の顔もほころんだ。


「今度から夜食はミリアに頼もうか」


「いいですね、それ! 姉さんもよかったじゃない!」


「あ、ああ」


「いいなー、ハーピー……。わたしも頑張って料理覚えて、マスターにもう一度食べてもらうんだからっ」


「私も、頑張る。……マスターの撫で撫で」


 芳しく騒ぐ四人の姿に苦笑が浮かぶ。


「平和だなぁ……」


 刺激が足りないのは少々考えものだが、それでも充実した日々を過ごせている。


 ――願わくは、この日常が明日へと続くように。

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