暁 〜小説投稿サイト〜
前略、空の上より
第三話「四様料理」
[6/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ってみて。プログラム上のものとは勝手が違うんじゃない?」


「はい。肘の角度は八十度、手首は前腕の延長、包丁を握る握力は三・五キログラム。包丁で効率的に食材を刻む数値を学習しました」


「そ、そう。よかったね……?」


「はい」


 意図していたものとは違う答えが返ってきたが、本人は満足そうだから別にいいか。


「さて、最後は――」


「はいはーい! わたしのですよマスター!」


 元気よく手を上げるアストレア。そう、残るはおバカの代名詞であるアストレアの料理だ。


 本人には悪いが、彼女の料理が一番不安だ。何せなにを仕出かすかまったく予想がつかない。しかも純粋に善かれと思っての行動であり、悪気がないだけ立ちが悪い。相応の覚悟を持って臨まないと豪い目にあうのは必須だ。


「あたし、ダウナーの料理を見てこれだって思ったんですよ! むっふっふー、あたしの料理を見たら、マスター驚いちゃいますよ」


 固唾を呑んで見守る中、意気揚々と意気込むアストレアは自身の料理を披露した。


「――――は?」


 ソレを目にして思わずそんな声が出てしまった。隣ではこの料理を作った張本人が「ふふん、どうです? 凄いでしょ!」と得意気な顔で胸を張っている。


「うわぁ、あれはないよ……」


「あらあら……アストレアちゃんにもちゃんと料理を教えてあげた方がよかったわね」


「あれって、料理? わたしのより酷いじゃない」


 ハーピー妹、タナトス、ニンフがそれぞれ感想を述べる。タナトスは困り顔で頬に手を当てているが、それ以外はひきつった顔で目の前の料理を凝視していた。


 アストレアの料理は一言で言うと――、


「……魚、だな」


「魚ですね」


「ピチピチ跳ねて、活きの良いお魚ですわね」


「というか、生で出すなんてありえないでしょ」


「鯖……海水魚、日本列島近海等に生息。体長は一歳で二十四センチ、二歳歳で三十一センチ、三歳で三十五センチ、四歳で三十七センチ、五歳で四十センチ程まで成長。全長は四十四センチのため約五歳半ですね」


 絶句していた俺の前には一匹の魚が白い皿の上に横たわっていた。ご丁寧に脇にある小皿には醤油と少量のワサビを備え付けて。


 呆れた口調のニンフが肩を竦め、意外な知識を披露するイカロス。


 タナトスの言う通りまだ息があり、皿の上でピチピチと跳ねている。


「ダウナーたちが食べるご飯に『おさしみ』というのがあるんです! こっちの醤油を浸けて食べて下さい!」


「……これを?」


「そうですが、なにか? ……あっ、そっか!」


 マジ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ