裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、絡まれる
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、あらかじめ登録しておいた武器に一瞬で持ち替えることができるという効果を持っている。
これを使えば、武器を持ち替えるのにいちいち装備ウィンドウを開く必要がなく、更に『直前まで持っていた武器を自動で装備し直す』という設定もできるため、装備変更の手間を省いたり、敵に弾き飛ばされた武器を拾いに行く必要がなくなったりと、使いこなせると何かと便利なスキルだったりする。
僕は第1層の頃は投剣スキルを封印していたので、その間に使っていた短剣のスキルModで《クイックチェンジ》を習得済みだった。
発動させた時の持ち替え用武器として、さっきリーダーに向かって投げつけた『ハンティングダガー』を指定していたため、短剣は自動で装備解除→再装備という流れを辿り、逃走を続ける僕の手に戻ったというわけだ。
「こんなものかな……っと」
彼らをある程度引き離したところで適当な脇道へと飛び込み、すかさず隠蔽スキルを発動させる。
視界の端に映る『85%』という数字は、ハイディング中の僕がどれだけ背景に溶け込んでいるかということを表す数値だ。
85%という数値だけを見れば、一見かなり高い隠蔽効果を誇っているように思える。
ところが、この数値は装備の効果や地形、自身の熟練度や相手の索敵スキルなどにも影響されるため、実際にはそこまで高いというわけでもない。
僕は人目を避けるため、隠蔽スキルを人並み以上に鍛えてはいるものの、索敵スキルを鍛えている人や攻略組などの高レベルのプレイヤーが相手となれば、いとも簡単に発見されてしまう。
だけど、まあ。
それはあくまで、攻略組クラスのプレイヤーが相手だった場合の話だ。
彼らのような連中を撒くだけなら、85%もあれば十分すぎる程だろう。
「クソッ!あの野郎、どこ行きやがった……!」
僕を追いかけていたプレイヤーの一人が、毒づきながら周囲を捜している。
───予想通り、かな。
声には出さず、心の中で呟く。
彼らはその手口の性質上、隠蔽スキルはそこそこ鍛えてあるものの、逆に使う必要のない索敵スキルは大して高くないようだ。
「あんなガキに出し抜かれるリーダーもリーダーだよ、ったく……。デカいのは身体と態度だけかっつーの」
その証拠に、彼は一度だけこちらの脇道を見て、しかし僕に気付いた様子もなく別方向へと走り去っていった。
というかリーダー、手下に思いっ切り嫌われてるんですけど。
なんというか、お気の毒に……。
「……、はぁぁぁぁ……」
追跡者がいなくなったのを確認した後、僕は地面に座り込んで盛大に溜息をついた。
ラムダの裏通りは治安が悪いとは聞いていたけれど、まさかここまでとは思わなかった。
予め全員が隠蔽スキルを使い、相手が一人になった瞬間に取り囲む。
並のプレイヤーであればパニ
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