第四十四話
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強引にリズへと引き渡すと、「爆発しろ」と言い残して転移門へと消えて行った。
「ちょっとあんた、大丈夫? 今度は何したのよ?」
「大丈夫だ、ちょっと74層のボスの攻撃を斬り払いしてただけだからな」
もう信じらんない、そんな感情がひしひしと伝わってくる表情をしたリズに、クラインに代わって肩を支えられる。
「ボス戦って……ダンジョンの攻略だけじゃなかったの?」
「《軍》の連中がいきなりボス戦始めてな……ま、放っとくわけにもいかないし」
そんな感じで今日のことをお土産話のように話ながら、リズと二人で目的地であるレストランへの道を歩き始めた。
なんだかんだで情報通のキリトに紹介されたそのレストランは、キリトが昔ここを活動拠点にしていた時の行き着けだったらしく、食い意地が張っているキリトが太鼓判を押しているレストランとして、俺もリズも気に入った場所の一つである。
「全く、あんたは危なっかしくて放っとけないんだから」
「リズだって店先で寝てたりするじゃないか。アスナとハンナさんがいなかったら、店が潰れてるかも知れないぞ?」
歩いている内にやはりこういう雑談……というか言い争いに落ち着いてしまった時、ふと、俺はリズに違和感を感じた。
いや、違和感と呼ぶべきか……俺の数少ない自慢出来る点である眼は、実はただの節穴であったのかもしれない。
リズは、私服だった。
いつも着ている、《閃光》アスナプレゼンツのエプロンドレス姿ではなく。
いや、確かに珍しいがリズの私服姿は見たことが無いわけではないため、今ここで重要なのは、その私服姿を見たことが無いという点だ。
「それ、新しい服だよな。……似合ってる」
遅ればせながら、俺の心からの賛辞の言葉に対してリズはそっぽを向き、
「……気づくのも言うのも遅いわよ、バカ」
と、俺に見せている耳まで真っ赤にして答えたのだった。
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