第四十四話
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るのだった。
それもその筈、人間の脳は恐怖を視覚化することなど出来はしない……本来ならば。
例えるならばテレビのチャンネルだろうか。
人間が普段脳で使っているチャンネルが4チャンネルだとして、恐怖を視覚化するチャンネルが8チャンネルだとしよう。
本来ならば脳の機能として4チャンネルしか見れないところを、無理やり8チャンネルを見ているとなればテレビ=脳がやがて壊れてしまうのは道理なのだ。
……自分で自問自答したこの理論は解りにくかったが、単純に言えば、本来備わっていない機能を使いすぎて悲鳴をあげているということである。
「ショウキ! 大丈夫かよオイ!」
倒れた俺に一番最初に駆け寄ってくれたのは、やはりというべきかこのお人好しのカタナ使いであるクラインだった。
以前に「お人好しならテメェの方が上だ」と言われたことがあるが、そんなことはあり得ないと思っている。
「ああ、ちょっと疲れただけだ……ところでクライン。少し、頼みがあるんだが……」
「お? オメーから頼みなんて珍しいな……良いぜ、いつもお世話になってるしな」
……そういうところがお人好しというのだ、と指摘したかったが、そんな場合ではないので今は遠慮しておこう。
「ちょっと47層に用事があるんだが、肩を貸してくれないか?」
《恐怖の予測線》のデメリットのせいで倒れてしまったため、ずっと《二刀流》で戦っていたキリトと同様、一人で歩ける自信と体力がないのだ。
「そんぐらいなら構わねぇけどよ……お前、ボス戦の後にまた依頼かよ?」
「まあそんなもんだ」とクラインに返すと、いつの間にやらこちらに戻って来ていたコーバッツが俺とクラインに《転移結晶》を握らせた。
「これを使え。代わりと言ってはなんだが、責任を持って次の層のアクティベートは我々がやらせてもらう」
「そりゃ頼もしいな……転移! 《リンダース》!」
コーバッツに後を頼み、この部屋を支配していたグリームアイズが消えたことによって使用できるようになった《転移結晶》で、俺とクラインは第四十七層《リンダース》へと転移していった。
ダンジョン内では解らなかったが、アインクラッドはもうすっかり夜という時間だった。
クラインに肩を担がれてリンダースに歩を進めた俺を出迎えたのは、もはや見慣れたピンク髪の少女だった。
「ショウキ!?」
「リズってことは……そういう予定なら最初から言えよショウキコノヤロー!」
肩を支えていてくれたクラインの叫びが耳元で響く。
今日の朝、《軍》の依頼を正式に受けることになる前にリズとした約束で、今日の晩御飯を一緒に外へ食べにいこう、という約束だ。
クラインはやや乱暴に、力が入りきっていない俺を
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