第一物語・後半-日来独立編-
第二十七章 目指す場所へ《3》
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い妄想だけしてればいいネ」
「彼氏もいない奴がよく言う」
「む、うちだってそのうち彼氏出来るもン。まだ学勢だから恋愛に励めないだけネ、それに恋愛は遊びでしたくないかラ」
「ほう、少しはマシなことも言えるのだな。オレも恋愛はするなら真剣にしたいからな、急ぐことも無い」
「リュウも恋したいぞー」
「あんたはまずその見た目どうにかしなさいよ」
「でっかく、格好よくなってやるー」
灯の言葉にやる気を燃やし、リュウは宙を高速で回転する。
風を切るように短く連続で音が鳴り、回転速度が上がっていく。しかしリュウは目を回し、宙に浮いていた身体が地に落ちた。
「無理しちゃ駄目ネ、まずリュウは成長することが先だナ」
「そうだなー」
空子に地からすくわれたリュウは目を回しながら肯定する。
間が空いたところへ、今度はセーランが入ってきた。
「俺は巨乳とか妹系とか眼鏡女子とかじゃなくて、身体のラインが綺麗な人がいいな」
「何よセーラン、あんた年下派なんじゃないの?」
「俺は昔っからライン派だぜ。特に年齢制限は掛けてないよ」
「何よ何よ、若い男達で青春の話して」
年老いた声が若い声のなかに加わった。
誰かと思い、声のする方へと皆は身体を向ければ、榊が上から地面に着地したところが目に入った。
“日来”と一緒にいた筈なのだが、今はここにいる。
セーランは“日来”が映る映画面を確認したが、どうやら“日来”本人にも何時抜け出したのか分からないようだった。
「学長がなんでここに来てるんだ」
「ここに来ちゃいけない理由でもあるのかい?」
「別に無いけどさ」
一本取ったと内心喜びながら、
「あそこ機械人形だけだったからさ、人がたった一人とか心悲しいから逃げて来たわけ」
「それにしても何時抜け出して来たんだよ。全然分からなかったぞ」
「現役時代は覇王会務めてたからねえ、今でも当時の逃げ足の速さは健在というわけさ」
「覇王会なのに逃げてたって、一体どんな事やらかしたんだよ」
「秘密秘密。若いうちに色々やっておいた方がいいってことさ」
はあ、と無関心の心を吐く。
息を切らし笑う榊は笑いを堪え、視線を真っ直ぐに向けた。
「高等部の学勢達には校庭に集まるように言ってある。多分社交院も別の所で集まっていると思うよ」
だから、
「日来学勢院覇王会会長として、宇天長を救いに行くって言い出した責任者として、皆の士気を上げとかなきゃだよね」
「そうだな。日来覇王会がやっと、きちんと機能するんだもんな」
榊は映画面を表示。それをセーランの元へと移動させる。
停止の文字が表示されており、通信するには映画面を一度押す必要がある。
セーランが左手を挙げると同時に、この場にいる皆は映画面に映らないよう範囲に移動した。
一
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