立志の章
第6話 「逃げても殺す」
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折れた首が千切れて飛んだ。
「なっ!?」
残った一人が言葉を発する間もなく、右手に持ったナイフで首を刈った。
その間、5秒。
だが、そんなことはどうでもいい。敵はまだまだ有象無象にいる。
「安心しな……一人ずつしっかり殺してやる……毎日フルマラソンして鍛え上げた俺のスタミナをなめんなよ?」
そう言ってどれくらい殺しただろうか。
殴る。蹴る。首を折る。
切り裂く。腕を切る。足を切る。首を刈る。
急所を穿ち、股間を潰し、頭部を砕く。
殺戮という殺戮を繰り返した挙句、周囲の賊は一人、また一人と逃げ出した。
「た、助けてくれー!!」
「ば、化け物だ、魔人だ!」
「お、おれはしにたくねぇぇぇっ!」
だがそんな賊を俺が許すはずもない。殺された無力な民の恨みはまだ晴れていない。
「逃がすと思うかっ! オオオオオオオオオオオオオオオッ!」
オリハルコンの精神感応を全開にして、力のイメージを送る。
白い蒸気のようなものが俺の身体を包み、風が生まれ、次第に暴風となる。
暴風は爆風に変わり、周囲の賊が吹き飛ばされた。
「くらえぇぇ、マグナ・エアバースト!」
自身の右足が周囲の風を巻き込んで、旋風脚のように回転する。
その巻き込まれた風が指向性となって、竜巻を前方へと押し出した。
逃げようとしていた賊たちはその竜巻にまきこまれ、はるか上空に吹き飛ばされ――墜落死した。
その数、およそ数百人。
俺は、風が収まると周囲で呆然とする賊どもに、笑みを浮かべてこういった。
「逃げても殺す」
……その一言が衝撃だったのだろう。
足を振るえて失禁する者。
墜落死して、臓物をぶちまけた死体に気絶する者。
発狂して周囲に剣を振り回して仲間を傷つける者。
もはやこれまで、と自分の剣で首を裂き、自殺する者。
賊は完全に壊滅状態になった。
「さて、再開しよう」
俺はナイフを掲げてそう呟いた。
だが――
「もういいよっ!」
その声が、戦場に響き渡る。
―― 劉備 side ――
「もういいよっ!」
私はそう叫んだ。
「これ以上はやっちゃダメだよ! もう、みんな戦う意志なんてないよ! これ以上、やる必要なんてないよっ!」
私の叫びに、盾二さんがゆっくりとこちらを振り返る。
その目は――
「……っ!」
瞳孔が開いた何も感じていない目。
いつもの盾二さんの目じゃなかった。穏やかで優しさを湛え、甘えるとちょっと困ったように目を白黒させた、人間の目。
それが、今はまるで……死人の目だ。
「……っ、もう、もうやめよ? 終わりにしよ?
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