暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
立志の章
第6話 「逃げても殺す」
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
折れた首が千切れて飛んだ。

「なっ!?」

 残った一人が言葉を発する間もなく、右手に持ったナイフで首を刈った。
 その間、5秒。
 だが、そんなことはどうでもいい。敵はまだまだ有象無象にいる。

「安心しな……一人ずつしっかり殺してやる……毎日フルマラソンして鍛え上げた俺のスタミナをなめんなよ?」

 そう言ってどれくらい殺しただろうか。
 殴る。蹴る。首を折る。
 切り裂く。腕を切る。足を切る。首を刈る。
 急所を穿ち、股間を潰し、頭部を砕く。

 殺戮という殺戮を繰り返した挙句、周囲の賊は一人、また一人と逃げ出した。

「た、助けてくれー!!」
「ば、化け物だ、魔人だ!」
「お、おれはしにたくねぇぇぇっ!」

 だがそんな賊を俺が許すはずもない。殺された無力な民の恨みはまだ晴れていない。

「逃がすと思うかっ! オオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 オリハルコンの精神感応を全開にして、力のイメージを送る。
 白い蒸気のようなものが俺の身体を包み、風が生まれ、次第に暴風となる。
 暴風は爆風に変わり、周囲の賊が吹き飛ばされた。

「くらえぇぇ、マグナ・エアバースト!」

 自身の右足が周囲の風を巻き込んで、旋風脚のように回転する。
 その巻き込まれた風が指向性となって、竜巻を前方へと押し出した。
 逃げようとしていた賊たちはその竜巻にまきこまれ、はるか上空に吹き飛ばされ――墜落死した。
 その数、およそ数百人。
 俺は、風が収まると周囲で呆然とする賊どもに、笑みを浮かべてこういった。

「逃げても殺す」

 ……その一言が衝撃だったのだろう。
 足を振るえて失禁する者。
 墜落死して、臓物をぶちまけた死体に気絶する者。
 発狂して周囲に剣を振り回して仲間を傷つける者。
 もはやこれまで、と自分の剣で首を裂き、自殺する者。
 賊は完全に壊滅状態になった。

「さて、再開しよう」

 俺はナイフを掲げてそう呟いた。
 だが――

「もういいよっ!」

 その声が、戦場に響き渡る。





  ―― 劉備 side ――




「もういいよっ!」

 私はそう叫んだ。

「これ以上はやっちゃダメだよ! もう、みんな戦う意志なんてないよ! これ以上、やる必要なんてないよっ!」

 私の叫びに、盾二さんがゆっくりとこちらを振り返る。
 その目は――

「……っ!」

 瞳孔が開いた何も感じていない目。
 いつもの盾二さんの目じゃなかった。穏やかで優しさを湛え、甘えるとちょっと困ったように目を白黒させた、人間の目。
 それが、今はまるで……死人の目だ。

「……っ、もう、もうやめよ? 終わりにしよ? 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ