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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
立志の章
第6話 「逃げても殺す」
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男は歯軋りをしながらその光景を見る。

(だけど、あんな……あんな……)

 そこには自分の配下、その中から集めた直衛である二千人。
 それが――

「あんな化け物がいるなんて、きいてねぇえええええええっ!」

 たった一人の男によって打ち倒されていた。




  ―― 盾二 side ――




 突進した俺は、AMスーツの力を全開にして突っ込む。
 賊は牽制に矢を放ってくるが、そんなものがAMスーツに効くわけがない。
 何しろこのスーツは、防刃・防弾で戦車砲でもなけりゃその衝撃さえ吸収してしまう。
 精神感応金属オリハルコンは、AMスーツ内部に衝撃と加重を受け止めるパワーフィールドを形成している。
 それは装着者のパワーで振り回される肉体をも保護する機能がある。
 だから常人の三十倍以上のパワーを出したとしても、肉体のダメージはほとんどない。
 ただし体重が変わるわけではないから、パワーに振り回されるとバランスを崩しやすい。
 ゆえに中国拳法の技法を使い、足を踏ん張りつつ、大地で反動を受け止める。
 そうしないと反力で、自分の身体が吹き飛ばされるからだ。
 その為、攻撃もジャブや弱いボディブロー並の力しか入れていない。
 しかし、それを『AMスーツの力』が三十倍まで高めてくれるのだ。
 ヘビィボクサーの渾身のストレートがジャブのスピードで飛んでくる――そんな風になる。

「本来は死にたくなければ動くな、というんだがな……お前らには言わんよ」

 ただし、それも殺さない程度に力を弱めた状態であれば、だ。
 目の前にある賊の顔。
 そこに軽く一発殴ると頭蓋が割れ、目玉が飛び出る。
 ジャブも少し力を増せば、簡単に人を殺せる殺人パンチになる。

「悪いがお前らを生かしておく気はない! ここは向こう(元の世界)とは違う! 司法の裁きなどはない! ゆえに傭兵のやり方で始末させてもらう!」

 アーカムは基本不殺(ふさつ)だが、俺は十二まで傭兵部隊で生きてきた。どこぞの殺戮兵器(キリングマシーン)といわれた先輩と違い、自分の意思で、だ。
 だから殺すべきものを殺すのに躊躇はない。

(それでもお前なら、きっと殺さずにすむようにするのかもな……一刀)

 賊の首を、腰から抜いたオリハルコンのナイフで切り裂きながら、そう思い耽る。
 俺よりも脆くも優しい兄――一刀ならば、きっとそうしそうな気がする。

「ヤロウ!」

 賊が五人がかりで斬り付けてくる。
 頭部への一撃を左腕で防ぎつつ、他のは防御すらせずに右腕と両足で同時に三人を始末する。

「は、刃が!?」

 賊の一人が自分の剣を見て驚愕する。
 だが、一瞬で身体を回転させた俺の回し蹴りを首に喰らい、
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