立志の章
第5話 「ナ、ナニヲイッテイルノカナ、アイシャサン」
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二つに分けだした。
前方の関羽に対して左右を厚めに、中央は少なめに……なんだ?
「本当によく見ておられる……伯珪殿、反対側を見てください」
「あれは……張飛隊? また突撃を仕掛ける気か?」
「はい……突撃を開始しました。そして関羽も好機と見たのでしょう。みてください、縦列陣で突破を図る気のようです」
「まさか……それを誘って!?」
「はい……すごいことになるかもしれませんよ」
星のいうとおりだった。
―― 関羽 side ――
「よし、中央が手薄だ! これより縦列陣にて敵を分断! しかるのちに、各個撃破する。我に続けぇっ!」
じりじりと消耗しそうだった戦局を打開するために、一気に決める。
私は決心した。
正直、鈴々があそこまで手玉に取られるのは予想外だった。
私は鈴々の力を知っていたから、最初は様子見をしていたのだが……まさかあそこまで隊を手足の如く使うとは。
鈴々の五度目の突撃で一旦引く様子を見せたため、安心した後背を狙おうと思ったのだが……それすら盾二殿は読みきっていたようだ。
(ここで一撃加えねば負ける!)
私の武将としての勘がそう告げていた。
だが、それと同時に一抹の不安があった。
(何故中央があんなに薄く……左右からの矢の攻撃力を増やすためか?)
なんにせよ、好機には違いない。
私は先頭に立ち、突撃する。
しかし……その中央にいた盾二殿がニヤリ、と笑った気がした。
「!!!!」
ゾクッとした悪寒が急激に身体を走る。
だが、隊は止まらない。
「いまだ! 予定通り、散れ!」
盾二殿の掛け声に北郷隊が左右へ退く。
そこには――
「にゃっ!? 愛紗!?」
「鈴々っ!?」
北郷隊が壁となっていたため気づかなかった。
鈴々がこちらと同じように突撃を仕掛けていたとは。
「うにゃ、止まれないのだ! このまま愛紗を倒すのだー!」
「く、謀られた……やむをえん! このまま突撃し、粉砕する!」
鈴々の部隊とて敵なのだ。
突撃同士、ぶつかりあう。
だが、その隙を盾二殿が許すはずもない。
そのまま二分割した隊をこちらの後方で再集結し、半包囲陣形で遠巻きに矢の雨を浴びせる。
「くっ……このままでは」
「にゃーー!!」
私も鈴々も、お互いを攻撃しあいながら互いに出血を強いられる。
その状況に――
「それまで! 訓練終了!」
公孫賛殿の一声により……模擬戦は終了した。
―― 劉備 side ――
すごい、すごいすごいすごいすごい、すごい!
あの愛紗ちゃんと鈴々ちゃんが、完全に手も足も出なかった
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