立志の章
第5話 「ナ、ナニヲイッテイルノカナ、アイシャサン」
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―― 盾二 side 北平近郊 荒野 ――
俺達は、白蓮の好意で客将ということで登用してもらうことになった。
宿から一刀を連れてくると、城内で一室を宛がわれる。
おまけに普段の世話は侍女が行ってくれると言う。なんともありがたい。
桃香たちも各部屋を与えられ、俺自身は一刀の隣の部屋に住まわせてもらっている。
当面の必需品は持っていた金を使い、装備や衣類も整った。
あれから数日後――侍女に呼ばれた俺達は、城門の外で武装した兵士達が整列して待つ場所に立っていた。
「すっごーい! この人たち、みんな白蓮ちゃんの兵隊さん!?」
桃香が目を輝かせている。
とはいえ、俺の目から見ると……街のチンピラと多少訓練した新兵にしか見えないが。
「まあ、今回は盾二たち三人の指揮能力を見るために集めたんだ。私の兵もいるけど義勇兵も混じってるよ。これらをどう使うか、見せてもらおうと思ってね」
白蓮の言葉になるほど、と俺は頷く。
新兵をどう生かすか。そして義勇兵をどう生かすか。
兵の質に対応した指揮が取れることも将としての資質、ということか。
「とりあえず三隊に分けて、それぞれ三つ巴の模擬戦をやってもらおうと思ってるんだが……大丈夫か?」
その言葉に、俺は愛紗と鈴々を見て頷く。
二人ともやる気のようだ。
「問題ない。適当に割り振ってくれ。その後作戦……話しあいをしてから開始、でどうだろうか?」
「異論はない」
「鈴々もないのだー!」
「わかった。じゃあ……」
白蓮が近くの兵を呼び、千五百ほどいた兵を五百ずつに分けていく。
俺は割り当てられた兵を集めて、前に立った。
「みんな、俺は北郷盾二……俺達は北郷隊ということになる。よろしく頼む」
「「「ハッ!!」」」
「隊の指揮経験は多少あるが、俺はまだみんなの力を知らない。みんなもまだ俺の力を知らない。だから今日、ここで勝とうと思うな。負けなければいい」
俺の言葉に互いに顔を見合わせる兵たち。
そりゃそうだろう。
勝とうと思うな、と言われれば弱いと思われても仕方がない。
「俺が率いる限り、たとえ相手を倒さなくとも自身の命を大事にする、そんな部隊にしたいと思っている。だからといって目的を忘れ逃げろ、というわけではない。目的を果たしつつ、自身の被害は最小限――限りなく零を目指す」
「「「………………」」」
「勇敢であっても蛮勇では意味がない。目的があっても死んではなにもできない。みんなそれぞれ大事なモノの為に兵になったのだろう? だったら命を粗末にするな。自分が死ねば、誰かがその分傷つき、そして死んでいくんだ」
「「「ハッ!」」」
「死ぬな、生きろ、そして目的を果たせ
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