第17話 西宮の休日?
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世界に取って俺は、かりそめの客に過ぎないのですから。
其処まで考えた俺が、少し生暖かい視線でハルヒを見つめる。
尚、当然、ワザと彼女に判り易いような仕草付きで。
「何よ、その意味あり気な視線は!」
案の定、いともあっさり、俺の挑発に乗って来るハルヒ。この辺りも、非常に判り易いキャラで助かっている、と言う感じですか。
「いや、何も」
相変わらず、生暖かい、と言うか、残念な子を見つめる視線付きでそう答える俺。
しかし、更に続けて、
「姉ちゃん、旅人に惚れたらアカンで」
……と、かなり冗談のキツイ台詞を口にする俺。
しかし……。
しかし、その台詞を聞いたハルヒは、普段のくるくると良く変わる猫の目の様なその瞳に、ドライアイスの如き冷たさを乗せて俺を見つめながら、
「誰が、誰に、惚れたって言うの?」
そう、普段の抑揚に富んだ彼女の口調とは百八十度違う口調で問い掛けて来る。
そう、これは、普段の生気のみなぎった、生き生きとした表情を浮かべる彼女が、有希のような透明な表情を浮かべた瞬間に発する凄愴な気と言う物は、十分に人を威圧出来る物で有る事を確信させて貰えた瞬間。
もっとも、二度と、そんな物を確信したくは有りませんが。
まして、ここで彼女に気圧されて簡単に怯んで降伏をして仕舞っては漢が廃ります。少し、無駄な足掻きを講じてみるべきでしょう。
「……って、ここは、普通、視線を外しながら、少し挙動不審と成った上でのその台詞がお約束やないのですか?」
ツンデレ少女の王道と言うべき対応を口にする俺。もっとも、現実世界で、相手の対応がそんなお約束通りの展開に進むには、相手と俺との間に阿吽の呼吸と言う物が存在していない限り、難しいとは思いますけどね。
まして、よくよく考えてみたら、無駄な足掻きだと自分で理解している辺り、既に無条件降伏前提の無駄口に等しい試みのような気がするのですが。
「なんで、あんたを相手に、お約束の台詞を口にしなくちゃいけないのよ」
流石に氷点下の視線と言うのは送る方も疲れるのか、それまでの挑むような視線へと戻したハルヒが、そう答える。
確かに、その通り。お約束の台詞だからと言って、必ずしも、彼女がそう言う受け答えを為さなければならない法律も決まり事も有りません。
まして、この目の前の少女のように普通ではない少女に、そんなお約束の受け答えを要求する事の方が、そもそも、理不尽な事でしたか。
「それで、あんたの明日の予定を聞いて上げて居るんだから、さっさと答えなさい」
そして、再び同じ問いを繰り返すハルヒ。但し、その態度は、先ほど同じ台詞を口にした時の態度とは百八十度違う態度。傲岸不遜、唯我独尊的な態度そのもので
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