第17話 嵐の前の静けさ
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「ん〜そろそろかしらね」
目の前のパソコンに映る画面を見ながら、私はそう独り言をこぼす。
画面には、旧世界・魔法世界各地からの報告が連なる。
最新のものの報告日時は、1980年の某日を示している。
私がこの地位につく切っ掛けとなったあの海戦から約400年。
思えばいろいろあったわね。
英国の発展を利用して、世界中を飛び回ったわ。
あらゆる地で交易を行い、侵略を行い、財を蓄え、商業ネットワークを構築する。
その後に、この時の為に貯めておいた財を惜しみなく使い、旧世界のありとあらゆる資源や、それを生み出す土地を買い漁った。
神樣印のグーグル魔導書や、私の魔眼をフルに使い、大小様々な土地を抑えた。
そうして今や、世界経済を握り他者の追随を許さない組織、マクダウェル財閥の影の総帥となったわけ。
市場に出ている資源の10割が、私の財閥から出ているものなのだから、経済を握っているのも当然なのだけど。
旧世界の報告をしまうと、今度は魔法世界側の報告を出す。
「こちらも問題はないようね」
財閥とほぼ同時期に設立したクロノス商会。
こちらは、魔法世界を担当し、同じく世界経済を握っている。
まぁ、旧世界で得た財でごり押ししてシェアを奪った結果なのだけど。
ちなみに組織名を変えたのは、単に面倒事を減らすため。
クロノス商会を立ち上げる合間に、エヴァと二人で修行も同時進行したわ。
今やほぼ全ての魔法・剣術・体術を習得し負けなし。
魔法具や人形遣いも習得し、ほぼなんでも出来る状態ね。
エヴァに至ってはこの時点で、人形300体を操ることができるわ。
ふと、報告の中に興味深いものが現れる。
「ふ〜ん、闇の姉妹の懸賞金、また上がったわね」
魔法世界で暴れまわっているうちに(=降りかかる火の粉を払っているうちに)いつしか私たちには二つ名が付き始めたわ。
私たち姉妹を指す場合は、闇の姉妹。
私、シルヴィア・マクダウェルは、世界最凶の悪の魔法使いとして、つけられた二つ名は沈黙の闇。
無詠唱魔法とエヴァから教わった魔力糸で、一言も発さずに殺戮する様からつけられたわ。
対して、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは、世界最強の悪の魔法使いとして、つけられた二つ名は闇の福音。
私とは正反対に、声高らかに紡がれる言葉は死の便り。敵でありながら威風堂々謳われる美声に、福音と評されつけられた。
そんな私たちの懸賞金が上がったようね。
エヴァが600万ドル、私が1000万ドルか。
日本円にしたら、エヴァが6億、私が10億の大台ね。
まぁ、
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