フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第五十三話 動き出す歯車
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たいんダ。なぜ、あれをキー坊に渡すように仕向けたんダ?」
「ん〜、なんのことかよくわからないわ」
「そういうところは相変わらずだナ、――――ハ」
その言葉を聞いた夜桜は今までとは違った笑みを浮かべた。それは、アルゴがよく知る人物がよく浮かべるものだった。
「参考までに聞きたいんだけど・・・どこで気付いたのか教えて貰えないかしら?」
悪まで鈴を転がすような澄みきった声で言う夜桜。正体がばれようとも今の状態を貫き通すらしい。
それから、五分ばかり話したところで二人は別れた。だが、アルゴが知りたかったことは知ることはできず、ただ笑ってはぐらかされるだけだった
◆
現実の時間で日付が変わるころ、ソレイユはインプの領主館の廊下を歩いていた。目的は領主であるルシフェルに用があるからであることは言わなくてもわかるだろう。
前回と違い案内役はいない。迷うことなく執務室の扉の前までつくと、コンコンとノックし返事が返ってきたので入っていく。そこには、ルシフェルとレヴィアを含めて七人のプレイヤーたちがいた。
「おっ、噂の新人の登場だな」
そう言ったのはキセルを咥えてふかしている右目に眼帯を掛けた男性プレイヤーだった。周りにいたルシフェルとレヴィアを除くプレイヤーたちが好奇の目を向けてくる。対して、ソレイユも一人一人を観察し初めて気づいたことがあった。
「(ここにいる全員が桁違いに強い、な・・・なるほど、ここにいる全員を総称して『七大罪』、か)」
「それで、今回はどうしたんだ?」
「領地を出ようと思う」
「そうか。まぁ、止めはしないぜ。恋しくなったらまた戻ってくればいい。レネゲイトはしないでおくからな。で、用ってそれだけか?」
「あと、いくつか頼みがあってきた」
そう言ってソレイユはルシフェルのもとまで歩いていく。他の六人はソレイユの邪魔にならないようにと左右に三人ずつ分かれて道ができた。
机を挟んでルシフェルと相対するとメニューウインドウをいじり、あるものが入った麻袋を実体化させ、それを机の上にどかりと置いた。置く時に重厚な音が響いたためかなりの重さということがわかる。
「・・・これは?」
「五億入ってる」
ソレイユの言葉に後ろで事の成り行きを見ていた六人が驚いた。幸いにも騒ぎ出すようなことはなかった。
「税金をかけた覚えはないんだが・・・?」
自由に生きればいい。領地で過ごすのもよし。領地を出るのもよし。何をしてもいいわけではないが、自分の思ったことをなせ。それがルシフェルの領主としての方針だった。だからこそ、税金なんてものは指定してない。だからこそ、ソレイユの意図がわからない。
「そういうことじゃねぇよ。頼みがあるっ
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