フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第五十三話 動き出す歯車
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無言でテーブルの上に置いた。
「USBメモリーだな・・・どういうつもりだ?」
「今すぐその中にある“もの”を見ることをお勧めするわ。安心して、ウイルスなんてものは仕込んでないから」
カフェラテに口を付けながらそう言う夜桜にエギルは不審な目を向ける。対して夜桜はそんな視線を向けられてもクスクス、と笑うだけだった。そこから読み取れるものはエギルにはなかった。
一度だけアルゴに目配せし、アルゴが頷くのを見ると店の奥に引っ込んだ。
「何が目的なんダ?」
「うん?」
アルゴの当然と言えば当然の質問にフレンチトーストの一部をくわえこみながら首をかしげる夜桜。
「あなたたちに有力な情報を与えるためよ」
「有力な情報?」
加えていたフレンチトーストを飲み込むとそう答える夜桜に今度はアルゴが首をかしげた。どういうことか聞き返したところで、エギルが引っ込んで行った店の奥からエギルの驚いたっ声が聞こえ、直後大慌てで戻ってきた。
「おいおいおい、あんた!ありゃあ、どういうことだ!?」
ずいっと夜桜に迫る。迫られた夜桜は動じることなく微笑みながら持っていたカバンからあるものを取り出して、再びエギルに差し出すようにテーブルの上に置いた。
テーブルの上に置かれたものを手にとってまじまじと見るエギル。それはどこからどう見てもゲームソフトだった。それも――
「こいつは・・・アミュスフィアの・・・」
≪アルヴヘイム・オンライン≫のパッケージだった。夜桜の意図がつかめないエギルとアルゴは当の本人に視線を向ける。
「その中の中心、世界樹と呼ばれる場所の写真らしいわよ、あれ。フライトエンジンが搭載されているゲームで空も飛べるの。だけど滞空制限があるからって五人のプレイヤーが体格順に多段ロケット方式で上まで行ったらしいのよ。その時の写真があれなわけ」
「だからって、なんでそれを俺に?」
「フフ・・・」
エギルの質問に意味深な笑みを浮かべると、いつ名もにか食べ終わり呑み終わっていたフレンチトーストとカフェオレ代を置いて、席を立って帰ろうとする。
「お、おい、あんた!」
慌ててエギルが呼び止めるがそれに応じる気配は夜桜にはなかった。そして、扉に手を掛けたところで、背中越しに振り返りながら口を開いた。
「確かに伝えたわよ。“英雄”によろしくね」
そういって店を後にする夜桜。エギルは呆けることしかできなかったが、アルゴは即座に思い立った行動を起こした。それは――夜桜を追いかけることだった。
◆
「ま、待ってくレ」
「ん〜?あれ、アルゴ?どうしたの?」
急に呼び止められた夜桜が声のした方へ向くとアルゴが息を切らせながら立っていた。
「どうしても聞いておき
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