第一幕その一
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間性が問題となる。彼は確かに英邁な君主であり偉大な軍人であったが同時に女性蔑視主義者であった。これがマリア=テレジアの怒りを買った理由の一つであった。
この大王にとって悪いことにフランスの当時の外交顧問はポンバドゥール夫人であった。平民出身ながら王の愛人、そして政治顧問にまでなった彼女は言うまでもなく女である。当然フリードリヒを好く筈がなかった。これでオーストリアとフランスの同盟は成った。
そしてロシアであるが。エリザベータ女帝は西で勢力を伸張するプロイセンを目障りに思っていた。しかもフリードリヒを人間的にも嫌い抜いていた。むしろこちらの方が大きかったかも知れない。何しろ目の前で話をしただけで不機嫌になってしまったという話がある程なのだ。彼女がプロイセン潰しに加わったことは言うまでもない。
オーストリアのマリア=テレジア、フランスのポンバドゥール夫人、そしてロシアのエリザベータ女帝。この三人に囲まれたフリードリヒは絶体絶命に追い込まれた。この同盟を『三枚のペチコート』と呼ぶ。そして三国がプロイセンに挑んだ戦争を七年戦争と呼ぶ。三国は終始プロイセンを追い込んでいた。
だがよりによってエリザベータ女帝が急死する。彼女は最後の最後までフリードリヒを倒すことを叫んでいたという。それ程までに彼を憎んでいたのだ。
だが次のピョートル三世はどういう頭の構造なのかわからないがプロイセン崇拝主義者だった。そして即位して早速プロイセンと講和した。しかも勝っている戦争なのにプロイセンに一方的に有利な条件でであった。あと一歩でプロイセンを倒せたというのにだ。オーストリアもフランスもこれには呆れてしまった。結果としてこれでフリードリヒもプロイセンも生き残り女性達は彼を仕留めることが永遠に出来なくなってしまったのであった。
しかもこの皇帝の頭の構造はさらに奇怪で軍服をプロイセン風にしながら給料は払わなかった。財政をそちらに注ぎ込んだからだ。前の女帝の政策を冷笑し全否定したがその政治は滅茶苦茶だった。しかもデンマークと戦争をしようとする。これで軍が彼を見離した。
それに擁立されたのがエカテリーナである。彼女は素早く軍を動かすとすぐに帝位を奪った。この時の軍服を着た彼女の絵がサンクトペテルブルグに残っている。
この無能な夫はすぐに暗殺された。彼女に暗殺されたというがこれも仕方ないと言えるような人物であった。妻でもある彼女をほったらかしにして肥満してお世辞にも美人とは言えない愛人と遊んでいたのだ。やはり何処までも異常な皇帝であったと言えよう。
そしてエカテリーナだが彼女は内政を整備しトルコと戦争をして領土を拡大した。文化にも重点を置き今だに粗野な空気が漂うロシアを西欧風のみらびやかな文化で飾った。とりわけフランス文化を愛し彼女自身もフランスの思想家ヴォルテ
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