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くらいくらい電子の森に・・・
第十九章
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で、テレビで、一斉にカールマイヤーが流れたら…?
一斉に始まる大量虐殺を、誰が止められる…?

――眩暈がした。

こんな…こんな酷い状況にいるのに。その中心にいるのは、間違いなくビアンキなのに。
脳裏に浮かぶビアンキは、今も弱々しく泣いているんだ。
ただ僕の姿を求めて。
「…行くよ」一瞬も、迷う余地なんてなかった。
「来るな。何かあったら、お前らの親に合わせる顔がない」
「紺野さんの言うような事が起こったら、多分3日とあけずに僕も、親も死ぬ」
紺野さんは何か言いかけたけど、鼻から息を吐いて踵を返した。僕が歩き出すと、柚木もついてきた。階段を伝うように、誰かの血が細く糸を引いて流れていた。踊り場に見える黒い塊が、多分…。



踊り場を越えて2階に辿り着くと、1階の惨状に輪をかけて酸鼻な光景が広がっていた。開け放たれた病室、暴走した生命維持装置。もう死んでいるはずなのに、病床でびくんびくん跳ねる患者の死体。その真上で死体をあざ笑うようにぐるぐる回って絡み合うアーム。全ての病室で、そんな惨状が繰り広げられていた。それでも少しでも動ける患者は、ベッドの下に逃げ込んでいつ果てるともしれない機械の乱舞に怯えている。…こんな状況だっていうのに、僕は自分の吐く息が異様に白いことに驚いていた。柚木が、同じように白い息を吐きながら呟いた。
「…すごく、寒いね」
「空調も乗っ取られたか…機械には寒いほうが好都合だからな。多分このまま、がんがん冷やされるぞ。冷やされるだけならいいけどな…」
そこまで言って、紺野さんは一旦口をつぐんだ。
「…まぁ、空調を使えるなら、俺達を追い詰める方法はいくらでもあるってことだ」
「…そうだね」
すごく嫌な想像が頭をよぎった。皆、そんな顔をしていたけど、誰も口に出して言おうとしなかった。
「姶良。中央システム制御装置がありそうな場所は分かるか?」
「分からないけど…見取り図通りなら、2階の奥のほうに『制御室』っていうのがあるよ」
「よし…別施設で管理してたらどうしようかと思った」
そんな可能性もあったのに闇雲に病棟に突っ込んだのかよ、と内心呆れたけど、そもそも別施設で管理されてたら、どのみち僕らの手に負えなかったから同じことだなと思い直す。
「でも、そこって本当に制御システムを管理してるの?」
柚木が当然の疑問を挟んだ。確信もなく病棟へ突っ込んだ事といい、制御室と聞いただけでシステム制御室と決めつけて乗り込もうとしている事といい、僕らは今、危なっかしいくらい希望的観測で動いている。
「そうだな…制御ったって色々あるからな。…よし、これは賭けだが…」
紺野さんが携帯の電源をONにした。青い起動画面が解けるように消えて、ハルが顔を出した。
「お呼びでしょうか」
「すまないな、こんな時にオン
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