暁 〜小説投稿サイト〜
とあるβテスター、奮闘する
裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、人捜し
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揃いも揃って『気にしていない』と笑ってくれたけれど、その原因を作った張本人である僕としては、引け目を感じずにはいられないわけで……

……と、まあ、その話は今は置いておこう。


閑話休題。

僕がアルゴに鍛冶師の紹介を頼んだのは、シェイリの使っている武器がそろそろ限界を迎えるためだ。
ディアベルの機転によって命を狙われることはないものの、《投刃》の名前は瞬く間に他のプレイヤー達の間に広まっていった。
当然、その中には鍛冶師や薬師といった、職人クラスのプレイヤーも含まれる。

多くのRPGがそうであるように、SAOでは店売りの武器や防具よりも、モンスターのドロップ品やプレイヤーメイドの品の方が、性能のいい物が多い。
必然的に、敵との戦いを有利に進めたいのであれば、店売りよりも非売品や鍛冶師作の武具で身を固める必要が出てくる。

大人数でパーティを組んでいるなら、多少装備の質が悪くても人数でカバーすることができる。
だけど、僕とシェイリは二人だけのパーティだ。
ペアで最前線に籠もっている僕たちにとって、店売り装備で敵の前に立つのは自殺行為といえる。

そのため、僕たちもプレイヤーメイドの武器を欲しているのだけれど、そこで二つほど問題が。
一つは、《投刃》の名前が広まってしまったために、武器の製作依頼を請け負ってくれる鍛冶師がいないかもしれないということ。
もう一つは、シェイリの狂戦士じみた戦い方に、そこらの武器では性能が追いついてこないということだ。

一つ目に関しては、見た目だけなら何とか誤魔化すこともできなくはない。
このデスゲームが始まって以来、僕は人前ではフードを目深に被り、顔がわからないように振舞っていた。
あの場にいたプレイヤー達が持つ《投刃のユノ》のイメージは、『フードを被った小柄な投剣使い』といったところだろう。
逆にフードを被らずに、素顔を晒してやれば……名前を名乗らない限りは、バレないかもしれない。

だけど、それはあくまで鍛冶師が《投刃》の特徴を詳しく知らなければの話だ。
いくら変装しようと、声や体格までは誤魔化せない。バレる相手にはバレてしまうだろう。
『人殺しに売る武器はない』と言われてしまえばそれまでだ(実際には殺してないけど)。

そして、二つ目の問題。
シェイリはレベルアップボーナスを全て筋力値に振っているらしく、並大抵の敵であれば両手斧の大火力で真っ二つにしてしまう。
本人が両手斧が一番使いやすいと言っていることから、武器の振りや重心の置き方などの立ち回りによって、本来の威力よりもいくらかブーストされているようにも見える。

と、それはいいことなのだけれど。
問題は、シェイリの意図的(無意識?)な威力の底上げによって、本来であれば歯が立たないような相手にも
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