暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ―亜流の剣士―
Episode1 スキル
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がメインに使う武器を、俺なら《片手剣》クラインなら《曲刀》で埋めることになる。余った一つは、ソロなら《隠蔽》なり《索敵》なりをパーティーなら《鍵開け》なりなんなりを入れることになる。

…まぁ、普通ならだ。ここで、RPGというものにあまり馴れ親しんでいなかった俺は所謂『定石』というものを無視してしまった。そんな俺が取ったスキルというのが――




「クライン、後ろだ!」
「おうよ!」

俺の指示にしたがってクラインが、振り向きざまに曲刀にスキルの光を宿した。曲刀カテゴリのスキル名など全く分からないが、振り抜かれた曲刀が後方から迫っていたネペントを両断した。

俺とクライン達の役割分担として、レベルに余裕のある俺がクライン達に指示し、あくまでレベリングが主目的であるクライン達がネペントを狩りまくる。
そして、花付きが出たところで俺がそいつを仕留めることになっていた。

ただ一つ問題になるのが、前方の指示に意識を向けていると自分自身が無防備になってしまうことだ。人に指示を飛ばしながら視界にうっすら浮かぶマップに意識を向けられるほど俺は器用じゃない。

しかし、その問題点は意外にも俺の《やらかしたスキル》が、俺が後方の草むらにピッタリ張り付くことでカバーしていた。

クライン達に指示していた俺の『耳』が、草むらの揺れる極小の音を拾った。振り向きざまに発動した《ホリゾンタル》が、草むらから俺をバックアタックしようとしたネペントを確かな手応えで切り飛ばした。

そう、普通のプレイヤーでは拾えないような小さな音を聞き分けたこれこそが、俺のやらかしたスキル、《聞き耳》だ。


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