第一話
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を外した。
眼下に広がる森が段々と迫り、木々の中を突き進む。大地に踵から接地すると膝を急激に曲げて前転し、衝撃を逃がす。三回、四回と転がり漸く止まることが出来た。
四つん這いになっていた身体を起こし、手足の感覚を確かめるように動かす。なんら痛みも動作を妨げることも無かった。強化した身体は皮膚すら傷つくことはない。
「――さて、無事に着地したはいいが、どこだここは?」
周囲にはヤシの木が茂り、改めて見回すと森というよりジャングルといった方がしっくりくるような場所だった。南の方に位置するためか、気温は高いが木の葉があるから日陰には事欠かない。時々、鳥の鳴き声なんかも聞こえてきた。
「取り合えず歩くか。人が居ればいいんだけど……」
まあ、居なかったら居なかったで別に問題はないが。ちょっと疲れるけど、その時は自力で脱出すればいいだけの話だし。
「しっかし誰だよ、いきなり警告もなしに撃ってくるなんて」
仕事柄、俺に恨みを持つ人間は多く存在する。恐らく今回襲撃してきた人もその内の一人だろう。
「見つけたら血祭りにしてやるもんね」
それまで悦に浸って待っていろ、馬鹿め。
十分ほど歩くとジャングルは上り坂になった。島の中央に行くにつれて標高が高くなっているのかな。木々も段々密集して歩き辛くなってきているが、この程度なら問題ない。
力強く大地を踏みしめながら登っていくと、ジャングルが開けて道となった。幅は狭く舗装もされていない。
そんな場合に奇妙なモノを発見した。
「ん? これは、キャタピラーの跡……?」
地面に二条の細かな段差がついた跡が奥まで続いている。触れてみると地面は湿っており、少し前にここを通ったことが窺えた。
「戦車があるってことは、軍事施設でもあるのか? ここは」
辿っていけば分かることか。そう思って立ち上がった時だった。
「――?」
遠くの方から銃声が聞こえた。乾いた発砲音は一つのみで、耳を澄ませてみてもそれ以降聞こえることはなかったが銃声だったのは間違いない。
もしかしたら面倒なところに来たかも、と早くも後悔の念が押し寄せて来たが、嘆いても仕方がないのでキャタピラーの跡を辿っていくことにする。まあ、仮に銃を持って襲いかかってきたとしても対処するだけの力量は持ち合わせているつもりだし。
歩みを再開すること間もなく、ジャングルの奥から物音がした。
茂みを掻き分ける音に紛れ、複数の荒い息づかいが聞こえる。時折、叫び声とともに銃声を響かせながらこちらに近づいてきた。
身を低くした俺は近くの茂みに飛び込み、地面
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