第一話
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
方を振り返る。魔力で強化した視力はソレをばっちり視界に捉えた。
「やっぱりかー!」
慌てて操縦桿を倒し左へ旋回すると、先程までいた場所をソレ――ミサイルが通過した。
「なんでミサイルが飛んでくるかなー! ていうか、どこから来たのアンタら!?」
レーダーに標された光点は八つ。次々と迫りくるミサイルを必死に躱しながら悪態をついた。しかもミサイルには追尾機能があるのか、振り切っても軌道を変えてしつこく追跡してくる。
「ちっ、振りきれないなら墜とすまでだ!」
操縦桿の上面にある赤い突起に親指を当てた。旋回してミサイルを回避し素早く狙いを定める。
「堕ちろ、鉄屑め!」
突起を押し込むと、備え付けられた機関銃が火を噴いた。重い銃撃音とともにマズルフラッシュを発しながら、十五ミリの弾丸が亜音速で風を切る。
連射した弾丸の一発がミサイルに命中。ストーカーのようなしぶとさをみせたミサイルは爆発し、周囲のミサイルも誘爆され閃光とともに爆音を響かせた。
「ふう……ビックリした」
難は去ったと思い大きく息をつく。刹那、
小さな揺れとともに右翼の一部に風穴が開いた。
「なっ、対空砲火!?」
慌てて操縦桿を倒すが思ったように動かず、四苦八苦している間にも凶弾は機体を狙っている。
「あー、くそっ! こうなったら仕方がないな」
一瞬で決意を固めた俺は常に肌身離さず持ち歩いているガスマスクを取り出す。
黒を基調にしたこのマスクは頭部を覆うタイプである。目の部位はサングラスのように黒く、外部からは覗けないが、内部からは透明ガラスのようになんの弊害もなく外界を視認できる仕様となっている。
人の居ない場所ではつけないが、普段はこれがないと生活できない。とある理由からマスク装着での日常を余儀なくされている。もうこのマスクともかれこれ十二年の付き合いになるのか。
「っと、悠長に構えている暇は無かったんだ」
マスクを装着した俺はハッチを開き、身を乗り出した。強風で身体がとられそうになるが、なんとか立て直して下を覗く。
高度は二万五千フィート程に下がっており、遥か真下に森が広がっているのが見えた。
「……すぅ……はぁ…………よし、行くか!」
深呼吸で精神を落ち着かせた俺は一気に大空へと身を投げ出した。
上空で爆発音が轟くなか、上下が逆さの状態で落下しながら魔力と気を体内で高速循環させて身体を強化する。同時に右肩の紐に繋がった輪っかを引っ張り、パラシュートを開く。
ガクンと衝撃とともに落下速度が激減。すかさずパラシュートを繋ぐ金具
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ