第一話
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いだけど、今回は随意と毛色の違う報酬をねだってくるんだねぇ」
「少し遠くに行きたくてな。あいつの相手をするのも正直疲れるのよ」
男は肩を落とした。その背がどこか煤けて見えるのは気のせいだろうか?
「ああ、あの嬢ちゃんかい。随分アグレッシブな子のようだねぇ。あんたもあんな可愛い子に迫られて満更でもないんじゃないのかい?」
「それも度が過ぎれば話は違ってくるさ」
「違いないねぇ。まあ、例の物に関しては任しときな。とびっきりのやつを用意するよ」
「ああ、頼んだよ。準備が出来たらいつものところに連絡してくれ」
そう言うと男は立ち上がり、玄関へ向かう。男の後ろに佇んでいた黒服の二人が左右に道を開き低頭した。
「ご苦労様」
「「はっ」」
男が小さく手を上げて労うと、畏まった様子でさらに頭を下げる。
男は一つ肩を竦めるとアタッシュケースを片手に部屋を出ていった。
そのガスマスクの中で、口の端に笑みを浮かべながら。
† † †
「あー、やっぱり一人旅はいいな〜」
とある空、どことも知れない海の上空で俺は小型飛行機を飛ばしていた。気分は上々で、鼻歌を歌いながら巧みに操縦桿を操り、悠々と広大な海の上を飛ぶ。
俺は今まさに鳥になったような気分だった。日々のストレスから解放された心はまさに一羽のカモメの如く悠然と大空を羽ばたいている。
今回は実に良い依頼だった。あの三人――というより一人の熱烈なアプローチに鬱々としていたため、どこか遠くに一人旅がしたいと思っていたまさきに理緒さんから依頼が入るなんて行幸と言えるだろう。おかげで旅費を浮かせることができた上に移動手段も確保できた。
ただ、誤算だったのが――。
「まさか戦闘機だなんてな……」
成功報酬として飛行機を一機頼んだが、それがまさか戦闘機だとは思わなかった。あまり軍事方向には詳しくないため、コレがどの程度の性能を有しているのかは判断がつかないけど。
仕事で知り合った軍人から戦闘機の操縦方法を教わっていてよかったと、つくづく思う。
上空三万三千フィートを維持すること一時間が経過したときだった。快適な空の旅を味わいながらボヘーと気を緩ませていると、突如警報が鳴り響いた。
ビービー! と耳障りな警報が鼓膜を叩き意識が活性化する。レーダーを見てみると複数の光点がこちらに接近していた。
「おいおい、これって……」
嫌な予感に苛まれながらもレーダーが反応している後
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