TURN63 ドロシーの帰還その九
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「しかし味方になるとだ」
「それは困ったことですね」
「だから酸素魚雷の技術を提供しようと思うが」
「そうするべきですね」
「ではその話も進めていこう。それにだ」
「それに?」
「今面白い艦艇も開発している」
平賀は話題を変えてきた。
「人が乗る必要のない戦艦だが」
「人工知能の戦艦だな」
東郷がここで言ってきた。
「それだな」
「そうだ。名前は夕霧という」
平賀はその名前も言う。
「四番艦まで考えているが一番艦が間も無く完成する」
「完成したら見せてくれるか」
「無論だ。軍艦ならな」
海軍に引き渡すのは当然だというのだ。
「そうさせてもらう」
「ではそのことも頼む」
「うむ。しかし戦局だが」
「太平洋は今落ち着いているがな」
「ドクツはどうだ」
「敗北は時間の問題だ」
そこまで追い詰められているというのだ。
「何時降伏するか。いや」
「あの国は降伏しないだろう」
「しそうにないな。完全に負けるまでな」
「戦うか」
「正直どうにかしたいがな」
「スエズに兵を進めるか」
「それでも間に合わない」
既に選挙区はドクツにとってそこまで悪化しているというのだ。
「もうな」
「ではレーティア=アドルフ総統は」
「戦犯として裁判にかけられるだろう」
捕まりそしてだというのだ。
「そして処刑だ」
「そうか。残念だな」
平賀はぽつりと漏らした。久重の口を通じてではあるが。
「それはな」
「俺もそう思う。あの総統さんは天才だからな」
「人類史上最高の天才だ」
平賀はレーティアをこうまで絶賛する。
「その人が処刑されるとはな」
「何とかしたいがな」
「できるか」
「きっかけがあればな」
東郷もレーティアを助けたいというのだ。
「そうしたい」
「では何か手段を考えてくれ」
平賀は東郷を見て告げた。
「是非共な」
「何かあれば早速な」
東郷も言うが今はどうしようもなかった。ドクツはあまりにも遠かった。
日本帝国は太平洋経済圏を確立しその中でリーダーとして大きく動いていた。彼等は明らかに戦争前とは全く違っていた。
その日本についてカテーリンは忌々しげにミーシャとロシアについて話していた。
「絶対に許さないんだから」
「気付いたら太平洋もインド洋も征服しちゃったね」
ミーシャが頬を膨らませているカテーリンに答える。
「ガメリカも中帝国もやっつけちゃったよ」
「それで資産主義にしちゃうなんて」
「絶対に駄目だよね」
「あそこには世界人口の半分がいるのよ」
インドまで入れれば優にそれだけはいる。
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