暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
無印編 破壊者、魔法と出会う
6話:その出会いは偶然か、必然か
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にいすを取り、体を洗う。
「それにしても、こんな大所帯で出かけるのは珍しいな」
「そう言えば、そうですね」
「はは、店の方が若い人達に任せられるようになったからな」
僕達三人以外にいない浴槽に響く会話。そう考えれば、あんまりないよな、こんな大人数は。
「それに、なのはも楽しそうだったし」
「恭也さんは忍さんがいればいつも楽しくなりますしね」
「なっ!いきなり何を!」
「そういえば恭也、彼女とは最近どうなんだ?」
「父さん、いきなりそんなこと言われても……」
体を洗いながら顔を赤くする恭也さん。僕と士郎さんはそれを見て少しニヤッと口角をあげる。
温泉を出て後、俺はカメラを持って林を歩いた。風が爽やかに林を駆け抜け、俺の髪を巻き上げる。林の中で休んでいた小鳥達が、俺の歩いてくる気配を感じてか、焦るように飛び立つ。
「ん〜、和む…」
その様子をそっと見届け、カメラのシャッターを押す。これで本日撮ったのは…大体十枚目、だったか。林の中では多分三枚目だ。
「…………」
そこで俺はカメラのレンズから目を外し、顔を上げる。
「…トリス」
〈はい〉
そして鼻で一息吐くと、トリスへ指示を出しジュエルシードを手に取る。そして腰を下ろし、ジュエルシードを空に透かすように見る。
(にしても、この石には何が…どんな力が秘められているのだろうか…)
なのはが出会った、ジュエルシードを探すフェレット。そして同じくジュエルシードを追い求める金髪の少女。どうして小動物やあんな少女がこんな石を追い求めるかは定かではないが、これに関わった奴は少なくとも碌なことになっていない。
変なネズミもどきに、明らかに凶暴化した犬、そして体をそのまま巨大化させた猫。普通でないことは明らかだ。
それにあの『大ショッカー』と名乗った連中も、このジュエルシードを求めている。奴らがやろうとしていることは、世界の支配。そんなことさせるつもりはさらさらないが、奴らがその目的の為にこれを探しているんだから、その力は俺の思っているよりも遥かに上なのだろう。
「まぁ、一人で考えても埒があかないか…」
と、小さくつぶやきジュエルシードを仕舞おうとする。が、その瞬間何とも言えない視線を背後から感じた。それを感じた俺の背中には冷たい汗が流れる。ゆっくりと顔を後ろに向け、視線の元を探る。
「…………」
「…………」
その視線の主はすぐに発見できた。それは俺の真後ろにあった木の上、その木の大きな枝の上に座っている少女だ。しかもその少女が、先程思考の内に出てきた金髪の少女だった。
「…………(チャキッ)」
少女は何の前ぶりもなく立ち上がり、持っていたデバイスを向けてきた。
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