ファントム・バレット編
ファストバレット
ISLラグナロク
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はつい先程、キリトが突如として背後に現れた事を思い出した。
「端末に映らない……つまり、あいつも川に潜っているのか?」
「そうね。だとしたらチャンスよ。あのボロマントは川に潜っている。つまり、武装全解除をしているはず。装備を戻す隙、そこを攻撃すれば……」
「駄目だ!拳銃一丁なら装備したまま水中にいられるはずだ。……あの黒い拳銃は一発当たっただけで本当に死ぬかもしれないんだぞ!」
即座に反論してきたキリトの目は真剣そのものだった。だが、シノンはまだ信じられずにいた。ゲームの中で撃たれたからと言って現実世界の自分も死ぬという事は……。
「私は……認めたくない。PKじゃなく、本当の人殺しをせるVRMMOプレイヤーがいるなんて……」
シノンの呟きにキリトは痛みを堪えたような声で返した。
「いるんだ。……《死銃》は、昔、俺やレイがいたVRMMOの中で多くの人を殺した。相手が本当に死ぬと解っていて剣を振り下ろしたんだ……」
シノンはこれまでのキリトとの対話から彼と相棒の拳銃使い――レイが《あの事件》の関係者であることを薄々察していた。
そして、彼の言葉が真実ならば、《死銃》もまた然り。さらに、《死銃》は《本当の人殺しをするVRMMOプレイヤー》でもある……。
混乱した思考の中で、ようやくそこまで理解した瞬間、シノンは全身に悪寒が走った。
視界が闇に染まっていき、その奥から見詰める何者かの視線。生気のない、虚無的な、じっとりと粘つくようなこの視線は……。
「……ノン。シノン!」
不意に名前を呼ばれて目を開けると、キリトの気遣うような顔が現れた。
「……大丈夫。ちょっと驚いただけ。……キリト」
キリトの顔を見た瞬間に湧き上がってきた小憎らしさ。それがシノンの闘争心に火を付ける。
「あんたとの勝負。一度お預けにするわ」
「……え?」
「そんな危険なやつを放ってなんかおけない。だから、協力してあいつをこの大会から叩きだしましょ」
「……………」
キリトは数秒迷う素振りを見せたが、ふっ、と肩の力を抜き、頷いた―――直後。
シノンの眼前に立ちはだかると、右手を閃かせてフォトンソードを抜き放ち、突如として伸びてきた弾道予測線、その直後に放たれたフルオートの銃弾の嵐を光剣で叩き落とした。
銃弾の嵐が止み、シノンの視界に写った射手は《夏候惇》。前回、前々回の大会にも出ていた古強者だ。
「まずはアイツからだな。俺が突っ込むから、バックアップよろしく」
「………了解」
妙な成り行きになったなあ。などと考えながらシノンは愛銃のウッドストックに頬を付けた。
――《死銃》討伐チーム。キリト、シノン。結成。
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