ファントム・バレット編
ファストバレット
ISLラグナロク
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撃手の背後を取ったわけだ……。
しかし、サテライト・スキャンで俺が背後にいるのは分かっているはずなのに銃弾の一発も飛んでこないのは如何なる理由か。
もう1人の《シシガネ》氏に気付かれたくないのは分かるが、だったらこの場から一度離脱すればいいのでは……?
そんな事を考えている時、俺が監視している方向、つまりシノンがいる場所で轟音が鳴り響いた。
反射的に身を強張らせるが、銃弾はいっこうに飛んでこなかった。シノンが《シシガネ》氏を射殺したらしいとすぐに理解したが、直後、俺の眉間を赤い《弾道予測線》が貫いた。
「わー、おっかねぇ……」
コンマ数秒で飛んできた大口径弾を上体を反らして回避すると、お返しにダブル・イーグルを抜き撃ちする。
距離は100m。拳銃はとどきこそすれ、大したダメージにはならない。そもそも、普通ならば当たるわけがない。
だが、
慌てたように弾道予測線が消え、辺りに静寂が戻った。
「やれやれ、キリトの反応速度も規格外だが、あの子も大概だな……」
レイはそれ以上追撃することもせず、その場から離脱していくシノンを見送ると、再びその場で沈黙した。
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実を言えば、俺は本戦が始まる前に出場者の名前から《死銃》であろう人物を特定していた。
名前を《Sterben》。
見慣れない綴りから英語ではない事は分かった。数分の思考の後、意味を理解し、確信を得た。
Sterben、ドイツの医療用語で読み方は《ステルベン》、意味は《死》。
だから、最初のサテライト・スキャンの時に俺はキリトを見つけた後、《死銃》を探した。しかし、フィールドの何処にもその名前は無かった。
スキャンを回避するには洞窟に入るなどの危険を犯さなければならない(山勘でグレネードを投げ込まれる)。
ラフコフの残党は総じて狡猾な性格をしたやつらばかりなので、誰であろうとそんな馬鹿をするはずがないのは明白だ。
ここで迷うのは今回の菊岡の依頼内容についてだ。
依頼内容は『死銃の力は本物かどうか確かめる』であって、そこに『死銃の殺戮を止める』は付随するか否かだ。
ここで、お馴染みの相反する考えが対立するわけだ。すなわち、一方では『依頼内容に入っていない』という理由で余計な事をしない。
もう一方は『個人的なケジメ』、そして何より『SAO生還者』の1人としてあの世界の闇の残党を止める義務。
「まぁ、今までのパターンからして選ぶ道は1つなんだけどね」
ポーチからサテライト・スキャンの受信端末を取り出し、画面の光点を数えながらタッチしていく。その数21。
「ありゃ?」
キリトの名前が無い。
咄嗟
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